20代の強みは「投資できる時間」が長いこと
20代では、まだ給与がそれほど高くなかったり、まとまった金融資産を持っていなかったりする人も多いでしょう。ただ、資産形成ではほかの世代にはない強みがあります。それが「時間」です。

例えば25歳から65歳までなら40年間あります。毎月の投資額が少なくても、長く積み立てを続ければ、運用で得た利益を再び運用する複利の効果も期待できます。
もちろん、「20代だからリスクを取ったほうがいい」という単純な話ではありません。数年以内に使う予定のお金や、病気や失業などに備える生活資金まで投資に回すのは避けたいところです。
一方、老後などずっと先に使うお金なら、株価が下落しても回復を待つ時間があります。30年、40年先を考えるなら、日々の値動きを追いかけるより、積立投資を途中でやめないことのほうが重要でしょう。
20代で積立投資を始めるとき、まず迷いやすいのが「どこに投資するか」です。今回は、世界全体に広く投資するタイプ、米国に絞るタイプ、新興国の成長を取り込むタイプの投資信託3本を取り上げます。
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
「どこの国がこれから伸びるのか分からない」という人なら、まず候補になるのが「オルカン」の愛称で知られるeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)です。
日本を含む先進国と新興国の株式に1本で投資でき、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスへの連動を目指します。NISA(少額投資非課税制度)経由で保有している投資家も非常に多い投資信託です。
米国株が好調なら米国の成長を取り込めますし、将来、別の国や地域の存在感が高まれば、そちらも投資対象に含まれています。「米国か、欧州か、新興国か」と自分で勝ち組を予想しなくてもよいのが分かりやすいところです。
なお、信託報酬は年率0.05775%(税込)以内です。20代から長く付き合うことを考えれば、こうした保有コストの低さも見逃せません。
SBI・V・S&P500インデックス・ファンド
「世界全体より、やはり米国に期待したい」という人もいるでしょう。そんな場合の選択肢が、SBI・V・S&P500インデックス・ファンドです。
米国を代表する約500社で構成されるS&P500への連動を目指し、「バンガード・S&P500 ETF(VOO)」を通じて米国株式へ投資します。S&P500には、世界的なIT企業だけでなく金融、ヘルスケア、消費関連など幅広い業種の企業が含まれています。
ただし、オルカンとの大きな違いは投資先を米国に絞っていることです。ここは「S&P500とオルカンのどちらが上がりそうか」と考えるより、米国に集中することを自分がどう考えるかで選んだほうが分かりやすいでしょう。
なお、信託報酬などの実質的な負担は年率0.0938%程度(税込)です。
eMAXIS Slim 新興国株式インデックス
「米国だけではなく、これから経済規模が大きくなる国にも投資してみたい」という人には、新興国株式という選択肢もあります。
eMAXIS Slim 新興国株式インデックスは、MSCIエマージング・マーケット・インデックスへの連動を目指す投資信託です。中国、台湾、インドなど、新興国・地域の株式にまとめて投資できます。信託報酬は年率0.1518%以内(税込)です。
ただ、新興国には少し注意が必要です。経済成長率が高い国だからといって、株価も同じように上昇するとは限りません。政治情勢や通貨の変動などで、先進国株以上に大きく値下がりすることもあります。
初めて投資する人が、いきなり資金の全てを新興国株式に振り向ける必要はないでしょう。例えば、オルカンなどを積立投資の中心にして、「インドなど新興国の成長にも少し期待したい」と考えるなら、資産の一部を新興国株式に振り向ける方法もあります。
20代には、この「少し試してみる」時間があります。値動きの大きさを実際に経験しながら、自分がどの程度の下落まで耐えられるのかを知ることも、長い資産形成では1つの経験になります。
20代の投信選びで大切なのは、長く続けられること
今回紹介した3本は全て株式型ですが、中身はかなり違います。世界全体に広く投資したいならオルカン、米国の成長に期待するならSBI・V・S&P500、新興国にも目を向けたいならeMAXIS Slim 新興国株式インデックスという選び方ができます。
だからといって、3本全てを買う必要はありません。例えばオルカンには米国株も新興国株も含まれているため、3本を持てば投資先が重複します。
20代で大切なのは、「今年一番上がる投信」を当てることではなく、自分が納得できる商品を選び、無理のない金額で積み立てを続けることです。
30年、40年という時間は、あとからお金を払って買えるものではありません。少額からでも早く始め、その時間を資産形成に使えることが、20代ならではの強みといえるでしょう。
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