
「毎日の宿題のマルつけや、音読のサインが親の大きな負担になっている」
小学生のお子さんを持つ保護者の間で、毎日のようにネットやSNSでため息混じりに語られるのが、この宿題への「親の関わり」をめぐる問題です。
仕事や家事で忙しい毎日のなか、子どもの勉強に付き合うのは決して簡単なことではありません。「なぜ学校の仕事を親がやらされているの?」と疑問を抱くのも無理はないでしょう。
All Aboutの子育て・教育ガイド、鈴木邦明氏の著書『言い方・伝え方でこんなに変わる 保護者の相談・クレーム対応100』(学事出版)から一部抜粋・編集し、家庭を疲弊させる「宿題マルつけ問題」の現実と、これからの新しい宿題の在り方を考えます。
【Q:保護者からの相談】
毎日仕事から帰ってきてからの、子どもの宿題のマルつけや音読のチェックが本当に負担です。全ての家庭が平日の夜にそんな時間を取れるわけではありません。学校側でマルつけまで終わらせてくれないのでしょうか?
【A:子育て・教育ガイド 鈴木邦明氏の解説】
結論から言えば、保護者による宿題のマルつけは、基本的には廃止していくべきだと私は考えています。保護者による宿題への関わりは、全ての家庭で可能なわけではありません。仕事の都合などによって、十分な対応ができない場合があるのは当然です。それを全ての家庭に一律に求めるシステム自体に、やはり無理があるのではないでしょうか。
「親のマルつけ」が引き起こす、子どもたちの思わぬズル
このマルつけの負担は、教科書の音読を聞く作業などにも同じことが言えるでしょう。さらに、保護者が忙しくて十分に関われないことを利用して、子どもが答えを丸写ししてズルをするなど、不適切行動につながってしまうおそれもあります。
今後、計算問題の正誤確認のような作業は、GIGA端末やAI学習アプリを用いる形が増えてくるはずです。そうなれば、必然的に保護者のマルつけ作業も不要になってきます。
学習アプリの多くは、正誤の確認はもちろん、勉強時間や進捗の一括管理などもできるようになっていますから、教員も保護者も子ども自身も状況の把握などがしやすくなるでしょう。
現在のところ、GIGA端末を自宅に持ち帰ることを許可していない自治体もあるようですが、文科省は持ち帰りを推奨しています。自宅で端末が使えると、計算ドリルもその正誤確認(マルつけ)も、子ども一人で完結するので本当に便利です。今後は宿題の在り方・やり方なども変わってくるのでしょうね。端末の持ち帰りも、ほとんどの自治体で可能になってくるのではないでしょうか。
「夏休みの宿題」をなくす学校が増えている納得の理由
「宿題の在り方の変化」という意味では、夏休みなどの長期休暇中の宿題を廃止する学校も出てきました。
これについては賛否が分かれているようですが、賛成派は「やらされている義務的な学習は学習効果が高くない。各子どもや家庭が『夏休みだからできる学習・活動』を自分たちで考えて取り組むほうがよいのではないか」と主張します。一方で反対派は「塾に通っている子は良いが、家庭の教育力などが低いと何もしないまま時間が過ぎてしまう。学びの格差が広がるのではないか」とそれぞれ主張しています。
両論とももっともですが、私個人は宿題をなくしてもよいと考える立場です。やはり、子ども自身が必要と感じ、自らの意志で取り組もうとする学習にこそ、意義も効果もあると思います。実際、夏休みではなく、通常期も含めて宿題を課さない学校もあるくらいです。
ただ、通常期の宿題であれば、毎日の関わりの中で担任が適切なケアをしやすいというメリットもあります。夏休み中は担任が関わりを持ちにくく、家庭に任せきりになりがちですからね。本人の自主性に委ねるだけではうまく学びにつなげられない子どももいることを念頭に、最適解を探していくことになると思います。
子どもにとって、保護者にとって、そして教師(学校)にとって「よい宿題の在り方」とはどんなものなのか、あるいは持続可能なのか。マルつけ作業にせよ、内容や量にせよ、宿題そのものを廃止するにせよ、私たちはそんな視点で考えていくとよいでしょう。
鈴木 邦明 プロフィール
神奈川県、埼玉県の公立小学校に22年勤めた後、短大、大学での教員養成、保育者養成に移り、現在に至る。現在は、大学での講義を中心に、保護者向けに子育て・教育、教員向けに授業方法・学級経営などのテーマで執筆、講演などに幅広く活躍中。






