
夫とはもう同じ部屋の空気も吸いたくない、そばにいられると具合が悪くなるから顔も見たくない。そんな思いで離婚を決断する女性は少なくない。だが、特に子どもがいる場合、大事なのはその後の生活だ。それだけは慎重に、そしてきちんと取り決めをした方がよさそうだ。
慰謝料も養育費もいらない
「夫の度重なる浮気で、私は疲れ果てて離婚しました。夫は子どもに会えなくなるのは嫌だとか、今でもきみが一番好きだとかごねていたけど、『慰謝料も養育費もいらないから』と私が口走ったら、『分かった』と離婚届にサインをしたんです」
3年半前に1歳の娘を連れて離婚したミオさん(41歳)。子どもが生まれたときは感激して泣いた夫だったが、翌日の夜には他の女性と会っていたという。ミオさんはそれを知って心身ともに調子を崩した。思えば、結婚したときからミオさんの携帯に無言電話が入っていたり、SNSのダイレクトメッセージに妙な文言が入っていたりしたのだが、そのつど、夫は「オレの関係者じゃない」と言い張っていた。
「でも、結婚して半年もしないうちに帰宅が遅くなったり、出張と偽って女性と旅行していたり。夫の親にもいろいろ伝えましたが、義母には『あなたはああいうヤツだと知って結婚したんじゃないの?』なんて言われて。知っていたら結婚なんかしませんでした。でもそのころに私の妊娠が分かったので、出産するまではとにかく辛抱しようと……」
スナックでアルバイトも
産まれれば夫が変わってくれるかもしれないと期待したがムダだった。だから、子どもが1歳になるのを待って離婚した。
「ただ、そこからが大変でした。職場復帰はしたけど、給料だけでは食べていけない。実家を頼るなら仕事を辞めるしかない。でも福利厚生がしっかりした勤務先なので、会社は辞めたくなかった。仕方なく、子連れで行ける近所のスナックでアルバイトを始めました。週数回の接客業でこの3年、なんとか切り抜けてきた感じです」
このままではジリ貧だとミオさんは思った。せめて養育費だけは請求しよう。そう決めた。
会社で雑談として話したら
養育費をもらっていなかったから今からもらいたいと、ミオさんは同僚たちに雑談として話してみた。離婚についてはほとんど語っていなかったのだが、いろいろな人の力を借りたいと考え、オープンに話すことにしたのだ。
「すると、ある先輩が『私の知り合いに弁護士いるわよ。知人もそれで離婚のとき養育費の請求をしたの。養育費だけはちゃんともらわないとだめ。夫にとっても娘は娘なんだから』と。それからすぐその弁護士さんに相談に行って、全てお任せしました。着手金とか報酬も分割でいいと言ってくれたので気が楽になりました」
それからほどなく、元夫から毎月4万円の養育費が入ることになった。今後、成長するにつれて増額してほしいときはまた相談してと弁護士さんに言われたそうだ。
「一気に生活が楽になったというわけではないんですが、少なくとも娘の養育費を確保できたのが大きかった。いずれは増額してもらうつもりです。こうなったら慰謝料ももらえばよかったと思っていますが、養育費に期限はないけど、慰謝料は時効があるんですって。もうちょっと早く気付けばよかった」
後悔が深くなっている
慰謝料は離婚後3年で消滅時効となる。もし請求しても、相手が消滅時効を主張すれば払ってはもらえない。
「お金なんていらない。この男と縁を切りたい。当時はその思いが強かったんです。でも今思えば、別居して冷静になり、その間にお金に対する作戦を練るべきでした。離婚して3年以上たってようやくそれに気付いた」
一般的に、女性が夫と離婚したいと思うとき、やはり感情が先に立つことが多い。お金なんかどうにかなると思ってしまうのだろう。だが今の世の中、一人で子どもを育てていくのは大変なことだ。その子が成人になるまでどうやって暮らしていくのがいいか。我慢して離婚を思いとどまる必要はないが、「取れるだけのものは搾り取った方がいい」と言った離婚経験者も少なくない。
「私もこれから離婚する人にはそう言いたいです。養育費が振り込まれていなければ強制的に取り立てる。私はそれも弁護士さんに頼んであります。最初からそうすればよかったんですよね」
ミオさんは現在、会社勤務と自宅でできる仕事をしている。娘には経済的にも精神的にもつらい思いをさせたくないとキリッとした表情で話してくれた。







