
三菱UFJ、三井住友FG、三菱商事、三井不動産――。日本経済のインフラとして、私たちの生活を空気のように取り巻く巨大企業の多くは、今もなお「三菱・三井・住友」の旧財閥グループにつながっています。
では現在、それぞれのグループ内で株式市場から最も高く評価され、「稼ぎ頭」となっているのはどの企業なのでしょうか。
グループごとの時価総額ランキングを比較していくと、各グループ独自の「強み」や、日本経済における役割の違いがくっきりと浮かび上がってきます。
本記事では、東洋経済新報社の記者である山川清弘氏の著書『教養としての 三菱・三井・住友』(飛鳥新社)より一部抜粋・編集し、「時価総額」から見える3グループの現在地を解説します。
株式市場の評価で見る、3大グループを引っ張る「主力業種」
企業の時価総額とは、「株式市場における、その会社の値段」を指します。つまり、時価総額が大きければ大きいほど、その会社が高く評価されているということになります。
次の表を見ていただくとわかるように、「金融」と「総合商社」、そして「不動産」がトップに集中しています。

特に金融の時価総額はどちらもケタ違いの大きさです。銀行は、個人や企業から集めたお金を貸して利ざやを稼ぐビジネスで、日本経済全体の“血液”のような役割を担っています。
金利や景気の変化が利益に直結するため、相場環境が良い時期には時価総額も伸びやすい業種と言えます。
三菱グループは「金融・重工・エネルギー」
三菱グループのランキング上位を見てみると、「金融」「商社」「インフラ・重工」「不動産」「エネルギー」「海運」など、景気や世界経済の動きに強く連動する、スケールの大きな業種が多いです。
三菱UFJフィナンシャル・グループと東京海上ホールディングスは金融部門の中心であり、三菱商事と日本郵船は海外と貿易をするというその性質上、グローバル市況に大きく影響されます。
ENEOSホールディングスは、実は三菱グループの一角。ガソリンスタンドのイメージが強いかもしれませんが、石油・エネルギー産業の代表格です。
三井グループは「不動産・流通・物流」
三井グループは、三菱グループと同じく、銀行・保険・総合商社・海運など、金融とグローバルビジネスが上位を占めていますが、三井グループの特徴は「不動産」「物流」「消費」に強いことです。
三井不動産はオフィスビル、商業施設、住宅、ホテルなど幅広い不動産事業を展開しており、日本を代表するデベロッパーです。三越伊勢丹ホールディングスは百貨店、小売の顔であり、王子ホールディングスは紙・包装・森林資源といった生活基盤に直結するビジネスを持っています。
さらに、商船三井や三井海洋開発、三井金属など、海運・海洋エネルギー・素材系の会社も上位に入っており、「モノとエネルギーを運ぶ力」と「街や生活を作る不動産・小売」が同居しているのが三井グループの魅力です。
住友グループは「IT・素材・環境」
住友グループの特徴は、「電気・IT」「素材」「不動産」「森林・住宅」がバランスよく並んでいることです。
NECやSCSKはIT・通信分野の中心で、デジタルインフラやシステム開発など、今後も需要が拡大しやすい分野を担っています(※
また、住友電気工業や住友金属鉱山は、電線・自動車部品・電子材料・金属資源など、インフラとハイテクの土台になる素材企業です。
住友不動産はオフィス・マンション・商業施設などを手がける大手デベロッパーで、住友林業は木造住宅や森林経営など、環境・サステナビリティと相性の良い事業を展開しています。
ここに、三井住友フィナンシャルグループやMS&ADインシュアランスグループホールディングス、三井住友トラストグループといった金融系が加わることで、「金融+IT+素材+不動産+住宅」という、「技術と暮らしと環境」に寄ったポートフォリオが出来上がっています。
三菱グループが重工・エネルギー色、三井グループが不動産・流通色が強いのに対して、住友グループは「素材とテクノロジーを軸に、暮らしと環境を支えるグループ」と表現できそうです。
山川清弘(東洋経済新報社 記者) プロフィール
1967年、東京都生まれ。東洋経済新報社に入社後、記者として放送、ゼネコン、銀行、コンビニ、旅行など担当。『会社四季報プロ500』編集長、『会社四季報』副編集長、『週刊東洋経済プラス』編集長などを経て『株式ウイークリー』編集長および「会社四季報オンライン」編集部編集委員。著書に『世界のメディア王 マードックの謎』(今井澂氏との共著、東洋経済新報社)、『ホテル御三家 帝国ホテル、オークラ、ニューオータニ』(幻冬舎新書)、『教養としての三菱・三井・住友』(飛鳥新社)など。






