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「私の老後はどうなるの……」80代両親の介護で、非正規雇用しか選べない。氷河期世代女性の焦り

両親を介護しながらアルバイトをする50歳女性。就職氷河期で、非正規雇用のまま実家で暮らしてきた。自身の国民年金だけでは生きていけないが、介護に追われ新たな職を探すこともできない。将来の不安に鬱々とした日々を送っている。※サムネイル画像:PIXTA

亀山 早苗

亀山 早苗

恋愛 ガイド

どうして男女は愛し合うのか、どうして憎み合うのか。出会わなくていい人と出会ってしまい、うまくいきたい人とうまくいかない……。独身同士の恋愛、結婚、婚外恋愛など、日々、取材を重ねつつ男女関係のことを記事や本に書きつづっている。

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高齢の両親を抱えて暮らす、鬱々とした日々(画像:PIXTA)
高齢の両親を抱えて暮らす、鬱々とした日々(画像:PIXTA)

日本総研のリサーチによれば、就職氷河期世代のうち、未婚で親と同居している人は250万人弱いるという。そのうち、非就業者や非正規雇用者で、親の介護や死亡を受けて経済的に困窮する層と想定した上で該当数を試算したところ、2020年時点で同世代全体で約70万人が該当する結果になったという。

他世代より人数も割合も多く、非正規雇用比率が高い女性の方が苦しくなると見込まれているようだ。

就職氷河期世代は、一般に1970年前後から1982年前後の生まれで、2026年現在おおよそ44~56歳とされている。総務省の労働力調査をみると、就職時は非正規雇用者であってもその後、男性は約9割が正規雇用となったが、女性は非正規雇用者のままというケースが多いということだ。

50歳、親の年金に頼っている現状

「さっさと結婚してしまえばよかった。後悔しています」

ナツキさん(50歳)は、現在、両親の介護をしながらアルバイトをする生活だ。大学を卒業したときは不況で就職先が決まらず、非正規雇用として働き始めた。その後は非正規の職を転々としていたが、ずっと実家で親と三人暮らしだった。

「4歳違いの兄がいるんですが、兄は就職もうまくいった。ただ、転勤族なので結婚後もあちこち転勤していて親の面倒は見られない。親も元気だし、一人暮らしは家賃が高くて払えないしと過ごしているうちに、私自身が50歳になってしまったんです」

30歳のころ、付き合っている人と結婚しようと思っていた。ところが婚約したとたん、彼の裏切りが発覚。「今後は絶対に裏切らない。信じてほしい」と言われて心が揺らいだが、やはりそれまでの信頼関係をあっさり崩した彼を許せなかった。

両親に次々と病気が見つかって

「そのころはまだ親も60代で元気だった。70代に入ってからですかね、両親に次々と病気が見つかって、どちらかが入院しているような状態になったのは」

現在は親も80代半ばにさしかかろうというところ。父が定年退職をしたころに家をリフォームしたものの、20年もたつとやはりメンテナンスが必要になってくる。

「父が勤めていたのは中堅企業で、退職金もそれほどなかった。家のリフォームにけっこうお金をつぎ込んでいました。私に負担をかけさせまいとしてくれたんでしょうけど。実直な両親だったから、株などの投資はいっさいせず、定期預金だけをコツコツ積み上げてきた。もう少しまとまった額があるかと思ったんですが、先日、調べてみたら数百万という感じでした」

両親の年金で日常生活を困らない程度に送ることはできるが、このところ介護費用もばかにならなくなってきた。

急な入院やタクシー代など思わぬ出費が

特にこの数年、両親のデイサービスなどの費用や、急な入院、通院のためのタクシー代などが家計の中で目立つようになってきた。

「両親が別々の病院にかかっているので、月に数回の通院日はタクシーを予約して連れていきます。まったく歩けないわけではないんですが、病院が駅から遠いし、ラッシュにかぶる時間帯の混んだ電車に乗せるわけにもいかなくて」

徐々に訪問医療に切り替えていこうと思っているが、両親とも手術後の定期検査があるため、手術をした大病院を切るのも不安だ。

「食材を買うのも、私はネットスーパーを利用すれば時間が浮くと思うんです。その間、私も働けますし。でも母は自分で見て手に取って買いたいという。両親が何かしたいと言うたび、そこには私がついていかないといけない。だからきちんとした仕事には就けないんです」

自分の老後はどうなるのか

ナツキさんには焦りがある。このまま何もせず、親の介護だけで終わる人生なのかと。自分の老後はどうなるのかという恐怖感もある。

「親の年金はまだ生活できるだけ出るからいいけど、私は国民年金だけですからね。とても暮らしてはいけません。いざとなったら自宅を売るしかないけど、そうしたら私の住むところがなくなってしまう。親は私の犠牲があって今の生活が成り立っているという認識はもっていません。むしろ、きちんと働けなかった娘を住まわせてやっていると思っている。私の将来など想像もしていないみたいです」

ナツキさんの口調が少し荒れた。人は誰もが年をとり、心身ともに衰えていく。そんなことは理屈では分かっている。だが、毎日一緒に暮らしている親は、ふと気づいたときに衰えているものなのだ。事前の準備を完璧にしておくのは無理な話でもある。

「この先、施設に入れるべきなのか、その費用はどうなるのか。施設に入れることが本当にいいことなのか。この期に及んでも、まだ喫緊(きっきん)の話ではないと思っている自分がいるんですよね。本当はもう動き出すべきなんでしょうけど、現実を認めたくないのかもしれません。一人で両親を背負っていくのは本当に大変です。ケアマネさんもいるけど、やはり何かが起こってからでないとなかなか動いてくれないし。というか、どう動いてもらえばいいのか私にも分からないんです」

動けないわけではないが、足腰が弱っていて外を歩き回るのは難しい。トイレには行けるが、かなり認知の歪みが出てきている。そんな親と、ギリギリの生活費で暮らしていくのは本当に難しい。

<参考>
・「親と同居する未婚就職氷河期世代の実情と課題 ― 親の介護などで70万人が経済的困窮に陥るおそれ ―」(株式会社日本総合研究所)
・「労働力調査(基本集計) 2026年(令和8年)3月分結果」(総務省統計局)

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