
「投資は若い人のもの」「今からではもう遅い」と思っていませんか? 実は、給料が上がり所得税率が高くなっている50代だからこそ、若者よりも圧倒的に得をする「投資のやり方」があるのです。
自身も65歳まで会社員として働き、現在はFPとして活動する首藤由之氏の著書『これだけ差がつく!老後のお金』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)より一部抜粋・編集し、iDeCoの節税効果と「ほったらかし」の仕組みを活用した50代が絶対にやるべき“大人の投資戦略”を解説します。
目次
「50代からでは遅い」はもったいない!
NISA口座はものすごい勢いで増え続けています。2024年の制度拡充後はさらに勢いが増し、この1年だけで400万口座以上が増えました。2025年3月末の全口座数は「2647万口座」にも上っています。
ただし、気になることがあります。金融庁などの調査によると、NISA口座の普及率や利用率が50代の方はさほど高くないのです。
普及率を見ると、30代が33.9%に達しているのに、50代は27%にとどまっています。また、利用率では同じく30代が4人に1人(24.4%)なのに、50代は20%に届いていません。
30代のほうが将来への危機感が強いのか、50代では知らない人が多いのか、数字だけではわかりませんが、いずれにせよ50代では、まだNISAを始めていない人が多数派です。
もし、50代に「投資期間が足りない」と思っている方が多いのだとしたら、もったいないことです。55歳で始めても75歳まで20年あります。長期投資をするのに十分な期間と言っていいでしょう。
50代で「長期・分散・積立」の投資の重要度に気づいて始めた人のほうが、豊かな老後を過ごせる可能性があります。
所得税率が高い人ほど、iDeCoの節税メリットは爆発する
いかがでしょう。iDeCoとNISA、それぞれに特徴があり上手に使いたいところですが、使い方で「鉄則」のようなものはあるのでしょうか。
どちらを優先させるかについては、世代によって明確な違いがあります。皆さんのような「50代以上の働いている方」は、まずはiDeCoを優先させることを考えていいと思います。
なぜだか、わかりますか?
iDeCoは「所得控除」が手厚いからです。
「第1の控除」として「現在のご利益」があると本書では伝えています。「現在のご利益」とはiDeCoへの掛金は全額が所得控除となることです。
皆さんのお給料は、どうでしょうか。
若い世代に比べると、格段に高い方が多いはずです。皆さんは若いころ、まだ年功序列を引きずっていた世代だからです。
課税所得が330万円を超す所得税率20%は当たり前で、大企業にお勤めの方のなかにはその上の「所得税率23%」や「33%」の方も数多くいらっしゃると思われます。
「所得税33%」だと、どうなるでしょう。仮にiDeCoの掛金が年間30万円だとすると、「9万9000円」も所得税が安くなります。次の年の住民税(10%)と合わせると、「12万9000円」です。実に掛金の4割超が返ってくるようなイメージです。
まだある、50代が「NISAよりiDeCo」を優先すべき理由
これが若い世代で所得税率「10%」だと、翌年の住民税と合わせても「20%」です。
元の給料が高いうえに税率が高いので、皆さんはダブルに恩恵が享受できるのです。
この分厚い「現在のご利益」を使わない手はありません。50代で若い世代より給料が高い方は、まずはiDeCoの利用を検討してください。
もう一つ、iDeCoは「60歳になるまで引き出せない」という点が厄介でした。
若い世代ですと、教育費や住居費などの費用が急に必要になることがあるため、NISA優先と指摘する意見があります。が、皆さんはこのような声も気にならないはずです。50代以上のあなたは、60歳まで「もう少し」です。
ただし、「現在のご利益」を得たからといって、そのまま現在の消費として使ってしまうことはあまりおすすめできません。せっかく「ご利益」が手に入ったのですから、老後資金をさらに盤石にする資産形成のために使うことを第一に考えてください。
仕事の邪魔にならない「ほったらかし投資」の仕組み
本書の「投資」の章で、「ここでの運用は『切った、張った』ではない」と申し上げています。デイトレーダーをはじめ、世の中には「切った、張った」の投資をする人が大勢いらっしゃいますが、その投資法ほど心臓に悪く、危なっかしいものはありません。
普通の人なら、「切った、張った」をやっていると、仕事が手につかなくなるでしょう。何しろ、投資したお金が瞬時に増えたり減ったりするのです。「気にならない」人はいません。各企業の株式など個別銘柄に投資しているほど、そうなります。
皆さんには、そのような投資はしてほしくはありません。悠然とかまえ、日々の値動きには一喜一憂しないクールな態度をとってほしいのです。
では、そうなるためにはどうすればいいでしょうか。
まずは、できるだけ個別銘柄への投資は行わないことです。もちろん、趣味の投資までやめてくださいと言っているのではありません。仕事の邪魔にならず、損失を被っても気にならない程度なら、個別銘柄にチャレンジしてみるのもいいでしょう。
しかし、本筋の運用はそれとは違った方式をとってください。
「長期・分散・積立」を、「投資信託」を利用して実践する投資方法が、取り組みやすいでしょう。
短期間の利益を目的にするのではなく、10年、20年単位の「長期」で収益を増やしていく、そんな投資法を心掛けましょう。
相場の暴落は最大のチャンス? 市場に居続ける勇気が果実を生む
ただ、いくらリスクを少なめにとっていても、金融マーケットですからさまざまなことが起こります。
2024年8月、一日で日経平均が4000円下がる暴落相場がありました。2025年4月に「トランプ関税」をめぐっても1000円単位で日経平均が値下がりする場面がありました。歴史的な出来事で言えば、2008年のリーマン・ショック後の大暴落はすさまじいまでの値下がりでした。
相場に「暴落」はつきものです。
個別銘柄よりリスクが少ない「投資信託」でもリスクがあります。当然ながら値下がりして元本割れすることもあります。
日々の値動きには一喜一憂しなくても、このような大暴落が市場を襲うと人々の気持ちは揺れ動きます。自分の「お金」がどんどん減っていくのを目の当たりにして、なかには耐えきれずに売却してしまう人も出てくるでしょう。
しかし、「長期・分散・積立」を実践する皆さんにとっては、売却は絶対にノーです。「ドル・コスト平均法」の原理を思い出してください。
値下がりすれば多くの量を買えます。暴落相場はいつかは終わり、反転上昇を始めます。値下がりしている間に多くの量を買えた状態で相場が上昇すると、とてつもない上昇で保有資産が増えていきます。
過去、幾度もこんなことが起きてきました。これがあるからこそ長期投資は収益が大きくなる可能性があるのです。途中で売却してしまっては、果実を得ることはできません。市場に居続けることが長期投資を成功させるコツなのです。
だからこそ、「ほったらかし」が大事です。
毎日の値動きを見ない、日々の収益を気にしない、などを生活習慣にしましょう。投資していることを忘れるぐらいになれば、しめたものです。
この書籍の執筆者:首藤 由之 プロフィール
特定社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー。
1959年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、朝日新聞社入社。2024年の定年まで、週刊誌『AERA』や『週刊朝日』などで主に経済分野を取材執筆、朝日新書編集長、書籍編集部長などを歴任後、編集委員を務めた。現在は、ファイナンシャルプランナーとしての活動をしつつ、リタイアメント・プランニングを中心に、年金など主に人生後半期のマネー関連の取材、記事執筆を行っている。著書に『「ねんきん定期便」活用法』『「貯まる人」「殖える人」が当たり前のようにやっている16のマネー習慣』(CEメディアハウス)。






