パート・アルバイトの社会保険加入が拡大(画像:PIXTA)
具体的には、職場の厚生年金被保険者数(正社員など)が一定以上いる企業では、短時間労働者も社会保険の対象になる仕組みです。
そのため、「小さな会社ならパートは社会保険に入らなくていい」「50人以下の職場なら扶養内で働ける」といった常識が成り立ってきました。
しかし2027年以降、これまで対象外だった中小企業でも社会保険加入が必要になるケースが増えていきます。
これまでの社会保険適用拡大の流れ
企業規模要件はすでに段階的に縮小されています。2022年9月まで:被保険者数501人以上
2024年9月まで:被保険者数101人以上
2024年10月~現在:被保険者数51人以上
このように、大企業から順に社会保険の適用が広がってきました。
ただし「同じように働いているのに会社規模だけで差が出るのは不公平」という意見も多く、今回の改正で撤廃までの道筋が示されました。
私の職場はいつから対象になる?
今後のスケジュールは次の通りです。2027年10月~:被保険者数36人以上
2029年10月~:被保険者数21人以上
2032年10月~:被保険者数11人以上
2035年10月:企業規模要件を完全撤廃
2035年10月以降は、従業員が1人の法人であっても(または一定の個人事業所であっても)、週20時間以上働く短時間労働者は社会保険の対象となります。
企業側・働く側にとって負担もある
社会保険の適用拡大は「保障が広がる」一方で、負担増につながる面もあります。会社は社会保険料を半分負担するため、パートを多く雇う企業では法定福利費が急増し、経営への影響も大きくなります。
働く側にとっても、保険料が引かれることで手取りが減るのは現実です。例えば月収8万8000円程度で加入すると、健康保険料と厚生年金保険料で約1万3000円が差し引かれ、手取りは約7万5000円程度になります。
手取り急減を防ぐ「保険料調整制度」
社会保険加入による手取りの急減を防ぐため、2026年10月から3年間限定で「保険料調整制度」が導入されます。これは、加入によって発生する本人負担分の保険料について、事業主が本人負担割合を超えて負担した場合、その超えた分を国に還付申請できる制度です。
例えば本人負担30%、事業主負担70%とした場合、超過分の20%を国に申請できる仕組みです。
目的は「手取りが減るから働く時間を減らす」といった就業調整を防ぎ、働き方の安定や処遇改善につなげることにあります。
社会保険加入のメリットも大きい
負担ばかりが注目されがちですが、社会保険加入には働く側にとって大きなメリットもあります。1つ目は、将来受け取れる老齢厚生年金が増え、一生涯の年金額が上乗せされることです。
2つ目は、健康保険の保障が手厚くなる点です。病気やけがで休んだときの傷病手当金や、出産手当金などは扶養内では受けられません。
3つ目は、雇用保険の給付も利用できることです。失業時の基本手当だけでなく、教育訓練給付や育児休業給付、介護休業給付などにつながる可能性があります。
今後は「働き損を避けるために扶養内に抑える」だけでなく、社会保険加入による保障や将来の年金額も含めて働き方を考える時代になっていきます。
制度改正のスケジュールを知っておくことが、安心につながるでしょう。







