人前では笑顔で振るまっていても、1人きりになると落ち込み、涙がこぼれてしまう「微笑みうつ」。つらさが周囲に伝わらないだけでなく、症状の深刻さも自覚しにくく、知らず知らずのうちに心の限界を超えてしまう可能性があります。場合によっては、うつ病や不安発作のきっかけになることもあるため、注意が必要です。
微笑みうつの問題点……実際の「症状」と人から見える「徴候」の不一致
微笑みうつに限らず、医学的には、実際に起きている「症状」と、他人の目に映る「徴候」は、必ずしも一致しません。そして、微笑みうつの場合は特にそれが顕著です。本人が1人になったときに心の不調を抱えていても、周囲への感情表出としては「笑顔」しか見えません。症状と徴候の不一致が生じるわけです。
「笑顔」はその人の感情の表れだと思われがちですが、実際には自然に起こるものだけではありません。楽しい気持ちではないときでも、少し無理をして笑顔を作った経験は、誰でもあると思います。笑顔は、意志の力である程度コントロールできてしまうのです。そして、周囲がその笑顔を「作られたものかどうか」を見抜くのは、親しい間柄であっても難しいものです。
心の病気の中には、すっかり無表情になるものもあります。本人の気分に問題がなくても、脳機能に関わる問題から全く笑顔を作れなくなるケースです。微笑みうつの場合は、その真逆のことが起こります。
無理な笑顔は危険サイン! ストレス社会の「心のSOS」には適切な対応を
「微笑みうつ」はうつ病の1つというより、メンタルヘルス上の問題の1つと捉えるほうがよいかもしれません。現代のストレス社会で、誰にでも起こり得ます。心のつらさをエスカレートさせないために、日頃のストレス対策が重要です。
つらいとき、愚痴をこぼせる人はいますか? もし会社や学校では平気なのに、1人になると涙がこぼれるような状態が続いている場合、すでにうつ病の初期段階になっている可能性もあります。「まだ大丈夫」と過信せず、精神科か心療内科で相談してみることも、ぜひご検討ください。







