管理される社会で生きて幸せになれるだろうか
――エデンという都市は、人工授精で生まれた子どもを両親だけでなくエデンの住人たちで育てていくというルールがありますが、意外とエデンのように管理された生活のほうが楽だという人もいるのではないかと思います。その一方、オリジナリティーのない生活に反発する人もいるでしょう。そんなエデンがつくり出す世界について栁さんはどう考えますか?栁:僕はエデンを好むか好まないかというよりも、エデンのような世界を否定はできないという気持ちのほうが強いですね。犯罪や格差がない社会のほうがいいじゃないですか。しかしその反面、個性が消されてしまうというのは怖い。今の時代を生きる僕は、エデンの住人に「それでいいの?」と問いたい気持ちになりました。
――どっちに転んでも何かが足りないという……難しいですね。
栁:全員が同じ方向を向いて生きることはできないんだなと。同じ方向を向かせるためには、エデンのように強制しないと無理なのかもしれません。
浅野忠信さんが俳優への道を開いてくれた
――キャリアについて教えてください。栁さんはモデルとしても活動されていますが、俳優になりたい気持ちはいつからあったのですか?栁:映画は好きでよく見ていたので、高校を卒業したら映像関係の学校に進もうと思っていたんです。しかし、モデルオーディションに合格してモデル活動を開始し、表舞台に立つようになって、俳優もありだと思うようになりました。
――演じてみたいという気持ちがあったのですか?
栁:俳優業界のことは分からなかったので、演じることがどういうことなのかさっぱり分からなかったです。もう単純に「スクリーンの中に入ってみたいな」という気持ちでしたね(笑)。
――そこから現在まで、キャリアを積み重ねていらっしゃいますが、栁さんのキャリアで転機となった出来事や影響を受けた人物がいたら教えてください。
栁:映画業界に入るきっかけを作ってくれた浅野忠信さんですね。モデルの仕事で一緒になったとき、俳優にも興味を持っていると話をしたら、事務所を紹介してくれたんです。
浅野さんのお芝居も好きでしたし、手助けしていただいた大先輩。浅野さんと出会わなかったら、僕は今、ここにいないと思います。
――その時代を経て、俳優としてさまざまなジャンルの作品に出演されていますが、栁さんは演じることは楽しいですか? それとも大変ですか?
栁:いろいろな役に出会うことはとても楽しいと感じていますが、演じる上ではセリフを覚えることはもちろん、体をつくったり、トレーニングしたり、準備したりするのは大変です。役をもらった当初はワクワクするのですが、役に入り込んでいくうちに結構キツイなと思ったりすることもあって。楽しい気持ちとつらい気持ちが半々ですね。
――『消滅世界』の朔役を考えるのはつらかったですか?
栁:そうですね、役よりも、この映画の世界を考えると怖かったです。こういう未来がくるかもしれないと思うと。都市伝説を聞いた後のようなざわざわする怖さがありました。
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