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マウリパラダイスのヤスさんからの手紙 キリバス共和国のお祭り前(2ページ目)

キリバス共和国のタラワ島にある、小さなリゾート、マウリパラダイスのヤスさんからメールが届きました。ホントに何もない南の島の様子があまりにピースフルなので、ここで紹介しちゃいます。

古関 千恵子

執筆者:古関 千恵子

ビーチガイド

つい匂いに誘われて話がそれてしまったが、その隣の一族がうるせえのなんのって、毎朝、5時前にこれ以上でっかい音が出ないぐらいにして、音楽をかけるんだ。寝静まっている村中が目を覚ます。電気も無いのにどうやって、音を出すんだって言われたって、持ち運びのできる小型発電機とコインロッカーぐらいの大きさのスピーカーが両側に付いたステレオを昨年買ったんだ。一族みんなで小学校の教室を建てたり、島の診療所を修理したり、島と島を繋ぐ道に石を積んで整備したり。島役場から率先して仕事をもらって得たお金で購入したんだ。
一族はその音楽を聞きながら、薄っすらと明るくなるまで眠っている。そして起き出すと、子供は海へ飛び込み学校の前に身体を洗う、おばさんは家の周りを掃き掃除しながらかまどの火を起こし、おじさんは井戸へ水を汲みに行く。
しかしうちはまだ寝ている。特にお客さんが居ない時は、朝寝坊を楽しんでいる。うちだって壁が無いから、音は蚊帳の中へガンガン響いてくる。お前ら何日前から盛り上がっているんだ。うるせ~~~ぞ。と思ったのも2~3日、今では馬鹿でかい音楽を聞いている方が、眠りが心地良くなってしまった。体の何処かがいつのまにかリズムをとっていたりする。そして、うるせ~ぞと思っても、つい聞いてしまうのは選曲のセンスがとてもいいからだ。
もちろんキリバスの曲が中心だが、その中でも馬鹿でかい音でも眠気を誘うような、穏かな曲が続く。テープは2本しか無いらしく、どっちのテープがかかっても、次にかかる曲がわかるようになった。もちろんお客さんの部屋にも壁は無いので、曲に体が馴染むまでは、いい加減にしろ!って感じです。
ここは村のど真ん中です。」


マウリ・パラダイス
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