キリバス共和国ってご存知ですか?
北太平洋の赤道と日付変更線が交差するあたりに浮かぶ島々。ちょうどタヒチの北くらいに島々がちらばっています。そのひとつ、タラワ島に日本人が手作りで営んでいる小さな宿があります。その日本人の名前はヤスさん。催し前に盛り上がっているタラワ島の様子を、ヤスさんが伝えてくれました。



「うちの隣りにタイマウリ家のマリヤバ(集会場)がある。そのマリヤバで盛大な催しが行われる。それぞれの村の村長、長老、島長、小学校の校長先生、同じような大きな家族の長などに、催しの招待状が送られている。招待状と言っても破いたノートの1ページに鉛筆で書いたものだ。

XX校長先生。
こんにちは。
私は、あなたがいらっしゃってくれると大変嬉しいです。タイマウリ一族のマリヤバが建設5周年の催しを開きます。奥さんとお二人で、どうか、食事用のお皿と、スプーンと飲み物用のカップをご持参下さい。

と、日時と場所が記されキリバス語で書かれている。

この催しは昨年から始まった。催しはみんなで準備を手伝い、楽しむのが昔からの習慣だ。だから、昨年は催し近くになると、マリヤバの周りに家がいくつも引っ越してきた。けれど、催しを終えた後に家ごと帰って行くはずの家族が、昨年は半分程しか帰らず…。今年も、昨年帰っていった半分の家族が催しに合わせてやって来て、隣は葉っぱの屋根がびっしりと連なっている。
この一年の間に若い夫婦が2組誕生しているので、さらに家が2軒増え、こうして書きながら顔を上げるだけで、垣根の向こうにその家並みが見える。キリバスの家は壁が無いので、何軒も先の家の中まで透けて見える。高床の上で、それぞれ朝の一時を過ごしているのが丸見えだ。それぞれの家の軒先には地面に穴を掘ったかまどに、大きなヤカンがかけられて、そこから白い煙が上がり、まるで隣だけ異常に濃い朝靄がかかっているようだ。
このかまど達を夕刻、どっぷりと日が暮れた頃に見ると思わずため息が出てしまう。暗闇にオレンジ色の炎が、まるで火の妖精のようにヤカンや大きな鍋の脇から飛び出したりちぢんだりしながら、火の横で料理する太ったおばさんを照らし、家の中を照らしだす。四隅の柱とヤシの葉の芯を並べた床、屋根裏に並んだ編まれた葉、そしてご飯を待つ子供たち。あったかいんだな~その色が、その光景が。まるで正月に田舎に帰って、母ちゃんや父ちゃん達とコタツを囲みながらみかんを食べているみたいなんだ。

おっと、風が気持ち良く肌をなでてゆく。
なぜか?風に焼き魚の匂いが混ざっているじゃないか!
村じゃ朝飯はトーティーにココナツの実を削ったテペンをたっぷりと入れたお茶を飲みながら、自家製パンをかじるのが日課なんだ。朝から魚焼いて、腹が減ってくるじゃねえか、よし今日も漁に行くぞ!