定年・退職のお金

年金生活で月18万円で暮らすには?無理なく続ける3つのコツ

年金生活で物価高に悩む方でも、月18万円で無理なく暮らす方法があります。住まい・車・保険など大きな固定費を見直し、自分に合う“暮らしの器”を整えることで、節約に頼らず家計の安心と満足度を高めるポイントを解説します。※サムネイル画像:PIXTA

小山 智子

小山 智子

50代のお金プラン・相続 ガイド

ファイナンシャル・プランニング技能士

50代以降のお金の考え方・貯め方・使い方などをテーマに活躍。自分らしい豊かな人生なる資産形成のコツをアドバイスします。

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年金生活で月18万円で暮らすには?(画像:PIXTA)

年金生活で月18万円で暮らすには?(画像:PIXTA)

物価高騰で暮らしが大変、年金生活だから楽しめない、節約にも限界がある……。「もうどうしたらいいの?」と思っていませんか。今回は「月に18万円以内で年金生活をしたいのですが、どうすればいいですか?」という質問をいただいたので、そのポイントをアドバイスします。

年金で月18万円の暮らしを楽しむには、使い方の優先順位を整えることが大切です。頑張って節約を積み上げるより、大きな固定費を見直し、全体を俯瞰して「自分にちょうどいい支出の型」をつくることで、不安が安心へと変わっていきます。

コツ1. 年金生活の家計の真実を見つめよう

毎月の年金受取額は自分ではコントロールできません。けれど、毎月の支出には大きく変えられる余地があります。

その余地を見つけるために、まずは年金生活の家計の“真実”をじっくり見つめることから始めましょう。

家計をじっくり見た結果「足りない」現実が見えてくると、つい食費や日用品の節約を頑張りがちですが、焦りは禁物です。

初めに取り掛かる項目は、暮らしの土台となる固定費の見直し。

特に、変えられる支出の中でもインパクトが大きいものから手を付けることが必須です。節約を見直す“順番”を変えるだけで、「頑張っているのにラクにならない家計」が、「ちゃんと回る家計」へと変わり始めます。

コツ2. 重荷になる固定費の「TOP3」を見直す

固定費の中でも特に重たくなりやすいのが、住まい・車・保険の3つです。まずこのTOP3から見直すことで、固定費は大きく変わります。順番に確認しましょう。

①住まい方を見直して最大の固定費をコントロール

住まいにまつわる費用は、年金生活で最も大きな固定費です。まずは「今の住まいが無理なく続けられるサイズか」を確認しましょう。

毎月、または毎年必ず発生する支出を書き出し、今後も無理なく続けられるかをチェック。続けにくい場合は、見直しをすることで支出のコントロールがぐっとラクになります。

■《賃貸の場合》ダウンサイジングで即効果
家賃は最もシンプルに削減しやすい固定費です。

例:家賃10万円→7万円に見直すだけで、年間36万円のゆとりが生まれます。
これは、毎月の食費を3万円削る努力よりも圧倒的に大きな効果です。

■《持ち家の場合》「支出削減」と「売却益」の2つのメリット
持ち家の場合は、節約をまずは試してみます。それから住み替えについても考えてみましょう。

●ローン残高がある場合
  • 住宅ローンの見直し・借り換え
  • 繰り上げ返済
これらで月々の返済や団信の負担が軽くなる可能性があります。

●火災保険の見直し
補償が必要以上になっているケースも多く、適正化すれば年単位の削減につながります。

●住み替えのメリット
持ち家ならではの大きなメリットが「売却益」です。

例:自宅を2000万円で売却→1000万円のマンションへ住み替え
→手元に1000万円のゆとり資金が生まれる。

さらに
  • 管理費が割安なマンションへ
  • 住む場所によって固定資産税が安くなる
  • 光熱費が下がる
といった効果も期待できます。

※売却時は諸費用、「3000万円特別控除」などの税制優遇も確認しましょう。

自家用車の持ち方を比較する

自家用車は、使いたいときに自由に使える一方、固定費がとても重い項目です(自動車税・保険・車検・駐車場・ガソリン……昨今では年間30万~50万円が目安といわれています)。

大切なのは「持つか持たないか」ではなく、暮らしに合った「持ち方」を選べているか?という視点です。

例えば……
ほぼ毎日乗る→軽自動車や小型車など、維持費の安い車へ
月1~2回だけ→カーシェア・レンタカー・タクシー併用の方が安いケースが多い
といった視点で考えてみませんか?

車を「生活必需品」と思い込んでいる方も多いですが、使い方に応じて選び直すだけで年間10万~20万円の差が生まれます。

③保険の見直し

年金生活では、必要以上に保障を手厚くするのではなく、今の暮らしに合った保障への見直しが大切です。

見直しポイントは次の3つ。
・医療・入院の実費カバー……公的制度(高額療養費)があるため、過剰な入院給付金が不要なケースも。
・手元資金(貯蓄)とのバランス……貯蓄で備えられる部分まで保険で二重に備えていないかチェック。
・払い続けられるか?……終身払いなどが将来の負担にならないか注意。

この3つを整えるだけで、年間7万~12万円の削減になることもあります。

コツ3. 「暮らしの器」を決める

「暮らしの器」は、削るのではなく、自分にとってちょうどよく収まることがコツです。暮らしの費用を大きく分類して予算を立ててみましょう。
《例》月18万円に収まる器、図版は筆者作成

《例》月18万円に収まる器、図版は筆者作成

このように、「ここには使ってOK」という枠を先に決めることで安心も満足も両立できます。

 月18万円で暮らす人の共通点

年金生活上手な人の共通点は「節約の努力」をしていません。
  • 定期的に固定費の見直しをしている
  • 暮らしの工夫を楽しんでいる
  • 自分サイズに暮らしを整えている
  • 相談相手(家族・ファイナンシャルプランナー・専門家)がいる
特別なことはしていないのに、結果的に「ラクに回る家計」になっています。

月18万円生活は我慢する数字ではなく、あなたらしく暮らしを整え直す数字です。

年金生活の満足度は、使った金額の大きさではなく、「使い方の納得度」で決まります。暮らし全体を俯瞰し、固定費から整えるだけで「頑張らない節約」へシフトしましょう。
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