今回は、年金収入の中でも心にゆとりを持って暮らすために、今日から始められる家計の見直しポイントを4つご紹介します。
家計の見直し1:固定費を減らす
毎月の支出の中でも、固定費の見直しは最も効果が大きい節約ポイントです。なぜなら、いったん削減すればその後も自動的に支出が減り、無理なく節約が続くからです。長年「当たり前」と思って払い続けている費用はありませんか? 実は見直すだけで月に数千円、年単位では数万円の節約につながることもあります。「削れない」と思い込んでいる支出こそ、見直すチャンスです。主な固定費の見直しのヒントをご紹介します。
●家賃・住宅ローン
家賃や住宅ローンは、家計の中でも特に大きな負担となる固定費です。もし今の住まいが広過ぎたり、住宅ローンの金利が高いままになっていたりする場合は、見直しのチャンス。金利の低いローンへ借り換えたり、ライフスタイルに合った住まいへ引っ越したりすることで、毎月の支出を数万円単位で減らせる可能性があります。
●スマホ・インターネット料金
通信費は、契約を見直すだけで毎月数千円の節約が可能です。使っていない通話定額プランや大容量データ契約を続けていないか確認してみましょう。
また、自宅にWi-Fiがある人は、スマホのデータプランを小さくするだけで節約できます。使っていないオプションや有料サービスの解約も忘れずに行いましょう。1人暮らしなら、固定回線をやめてスマホのテザリング機能で代用する方法もあります。
※テザリングとは、スマホをWi-Fiルーターのように使い、パソコンやタブレットなどをインターネットに接続できる機能のことです。
●医療保険・生命保険
生命保険や医療保険は、ライフステージに合わせて定期的に見直すことが大切です。子どもが独立した後も高額な死亡保障を続けていないか、複数の保険で同じ保障を重複していないか確認しましょう。
日本には「高額療養費制度」や「公的年金」など、万一に備える制度があります。これらを踏まえ、“今の自分に必要な保障だけ”を残すことが節約の第一歩です。
●サブスクリプションサービス(定額サービス)
動画や音楽、雑誌などの定額サービスは、知らないうちに重複契約していることがあります。数カ月使っていないものは一度解約し、本当に必要になったときに再契約するようにしましょう。定額サービスの見直しは、支出を抑えるだけでなく、暮らしをスッキリ整えるきっかけにもなります。
●電気・ガス代
電気・ガスの自由化により、契約会社や料金プランを自由に選べるようになりました。「エネチェンジ」などの比較サイトを利用して、自分の使用量や生活リズムに合ったプランへ切り替えるだけで、年間1万~2万円の節約になることも。
さらに、古い家電を省エネタイプに買い替えれば、長期的に電気代をぐっと抑えられます。
家計の見直し2:食費の工夫
外食やお総菜に頼ることが多いと、気付かないうちに食費がかさんでしまいます。例えば、1食500円で抑えたいと思っても、物価高で800円になれば、月10回の利用で8000円に。健康面や家計のことを考えると、無理のない範囲で「簡単な自炊」を取り入れるのがおすすめです。
・1週間当たりの食費予算を決め、週2回を目安にまとめ買い
・冷凍や作り置きを活用して、食材のムダを防ぐ
・友人や近所と“おすそ分け”や“共同購入”をして節約
・買い物はメモを持って、ムダ買いを防ぐ
また、献立がマンネリ化すると、食べる楽しみが減ってしまうこともあります。そんなときは、自治体が行う「シニア向け食事会」を利用したり、「配食サービス」や、飲食店の「シニア割引」を活用したりして、目先を変えることで、無理なくおいしい食生活が続けられるでしょう。
家計の見直し3:医療・介護費のムダを防ぐ
年齢を重ねると、医療費や介護費の負担はどうしても増えていきます。ですが、国や自治体の制度を上手に活用すれば、支出を抑えられます。ここでは、知っておきたい代表的な制度と、日常でできる工夫を紹介します。高額療養費制度:
1カ月の医療費が一定額を超えた場合、その超過分が払い戻される制度です。所得に応じて自己負担の上限額が決まっており、入院や手術などで高額な医療費がかかっても、経済的な負担を軽減できます。
高額介護サービス費制度:
介護保険サービスの利用料は、所得に応じて1カ月当たりの自己負担限度額が設定されています。通常、自己負担は1割(所得により2~3割)ですが、支払いが限度額を超えた場合、超過分が払い戻されます。介護が長期化しても、家計への過度な負担を防げます。
医療費控除:
年間の医療費が10万円(または所得の5%)を超えた場合、確定申告で税金の一部が戻ります。病院代だけでなく、市販薬の購入費や通院の交通費も対象になることがあるため、領収書やレシートはしっかり保管しておきましょう。
※セルフメディケーション税制や医療費明細書の提出方法などは、国税庁の最新情報を確認しましょう。
健康診断・予防の徹底:
市区町村が行う特定健診やがん検診は、無料または低料金で受けられる場合が多く、病気の早期発見・早期治療につながります。
また、薬やサプリメントを重複して使っていないか、かかりつけ医や薬剤師に相談することも大切です。ムダな出費を防ぎながら、体調を上手に管理していきましょう。
家計の見直し4:節約疲れを防ぐ
節約は大切ですが、頑張り過ぎると心が疲れてしまいます。完璧を目指すよりも、「できる範囲で」「自分らしく」続けることが長続きのコツです。例えば、
・「食費を週1000円減らす」など、小さな目標を立てる
・節約で浮いた分を、自分へのご褒美に使う
・家計簿アプリなどで成果を見える化する
・年に1度、支出を振り返る「見直しデー」を設ける
・家族や友人と情報を共有し、楽しみながら続ける
節約の目的は、ただお金を使わないことではなく、安心して穏やかに暮らせること。無理なく続けられる“ほどよい見直し”で、家計も気持ちも軽く整えていきましょう。








