「苔の絨毯に鮮烈な赤が浮き立つ」西芳寺(京都府)
「古都京都の文化財」は17の資産を有する世界遺産。清水寺や天龍寺、醍醐寺といった名だたる紅葉の名所の中で、私が推すのは西芳寺です。苔寺の通称の通り、120種もの苔が緑のモノトーン世界を描き出し、音を吸収して静寂な空間を演出しています。紅葉の季節、全体が染まるわけではないものの、苔の絨毯に浮かぶモミジのように、緑の中で赤が鮮烈に浮き立ちます。
コンセプトは「調律と閃きの庭」。心を整えて自然を感じ、自然を感じて自らの心に触れる……そんな交流がテーマです。
そのため人数制限があり、オンラインか葉書での予約制で、読経や写経に参加する必要があります。だからこそ、ハイシーズンの京都の中で、静かに紅葉を愛でることができるのです。
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「錦絵のように華やかな」白糸ノ滝(静岡県)
25の資産を持つ世界遺産「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の中で、イチオシが白糸ノ滝です。岩の間から数百条もの水が湧き出す様が連なる白糸を思わせることから名付けられました。普段は山水画のような景観で魅せますが、紅葉の季節になると滝の周囲が赤や黄に染まり、錦絵のような華やかな景色に変貌します。特に11月中~下旬のピークにはライトアップが行われ、幻想的な姿が楽しめます。例年2日間程度ですから、見れたら本当にラッキーです!
周囲には紅葉まつりで有名な河口湖や山中湖、富士を一望する紅葉台や天下茶屋といった名所が点在しています。標高が違うためピークも異なり、10月下旬~12月上旬であればどこかですばらしい紅葉が楽しめます。
「山頂の奇岩群も神秘的な」弥山(広島県)
厳島神社の背後に立つ霊峰が弥山です。厳島神社は島全体をご神体としており、特に原始林が広がる弥山周辺は神域とされ、この山域も世界遺産「厳島神社」に含まれています。弥山から厳島神社にかけて広がる谷の名前は「紅葉谷」。700本のモミジが林立する紅葉谷公園を筆頭に、秋には山が赤に黄に色づきます。他にも大銀杏の黄葉で有名な千畳閣や庭園で名高い大聖院など紅葉の名所が散在しています。
弥山はパワースポットとしても名高く、806年に空海が灯した火がいまだ燃えているという大聖院霊火堂の「消えずの火」は広島平和記念公園の平和の灯の種火として知られ、霊火で沸かした霊水を飲むことができます。
山頂の奇岩群も神秘的で、展望台から眺める瀬戸内海の絶景も必見です。