「でも、iDeCoって60歳までじゃないの?」と思った方も多いでしょう。実は、2025年の法改正によって、2027年からは条件を満たせば70歳まで掛金を積み立て(拠出)し、運用を続けられるようになります。ただし、これには注意点もあります。制度を誤解したまま続けると、かえって損をしてしまうことも。
今回は、経済ジャーナリストでAll Aboutマネーガイドの酒井富士子さんに、iDeCoを70歳まで続けるために知っておくべきポイントを教えてもらいました。
iDeCoを70歳まで続けるには?
2025年の制度改正で、iDeCoは2027年1月から、最大70歳まで加入できるようになります。これまでは一部の人が65歳まで拠出を認められる形だったので(受給開始可能年齢は60歳)、「もう少し運用を続けたい」という人には朗報ですよね。でも、1つ重要なポイントがあります。iDeCoは、元々「公的年金に上乗せする私的な年金」という位置付けです。この制度では、基礎年金の受給が始まると、原則、加入者として掛金を拠出できなくなります。
つまり、60歳から65歳までの間は誰でも積み立てできますが、65歳以降70歳まで続けたい場合、「65歳で基礎年金をもらい始めない」という選択をしなければならないのです。言い換えれば、基礎年金を繰り下げ受給することが、iDeCo継続の条件となっているのです。
これは、国が「65歳で年金をもらい始める」という既定路線から、「70歳まで働く」という方向へ誘導したいという狙いがあるとも言えるかもしれません。
「繰り下げ受給」は年金を増やすだけじゃない、iDeCo活用のカギに
iDeCoを70歳まで続けるためには、基礎年金をもらい始めないことが条件ですから、基礎年金の受給を繰り下げせざるを得ません。繰り下げ受給を選ぶことで、公的年金の受給額を増やすことができますし、iDeCoを70歳まで続ければ、私的年金を積み増すこともできるため、将来の年金全体を底上げできるでしょう。掛金分は所得控除の対象となるため、節税効果も得られます。
ただし、年金額が増えることで、税金や社会保険料の負担が増加し、かえって手取りが減るケースもあります。どのタイミングで年金を受け取るかは、家計の全体像を見ながら慎重に判断しましょう。







