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2025年から103万円・106万円「収入の壁」はどう変わった?50歳からの配偶者控除と働き方を考える

2025年の制度改正で「103万・106万円の壁」が変化。この記事では、配偶者控除や社会保険の新基準を整理し、損をしない働き方と収入の“ちょうどよさ”を生活者目線で解説。50代からの人生設計や暮らしの選択にもつながる視点を紹介します。※サムネイル画像:PIXTA

京極 佐和野

京極 佐和野

50代から考えるライフプラン ガイド

日本FP協会認定 CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、国家資格キャリアコンサルタント、JCDA認定CDAを保有し、マネープランと働き方の両面からアドバイス。人生100年時代の「自分らしく輝くセカンドライフ」実現にむけて、総合的な支援に従事。FP相談は20年以上の実績、研修・講演など活動は多岐に及ぶ。

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2025年は“収入の壁”が大きく動いた年!(画像:PIXTA)

2025年は“収入の壁”が大きく動いた年!(画像:PIXTA)

「パート収入、どこまでなら損しないの?」
「扶養から外れると、税金や保険料はどうなるの?」

そんな疑問を持つ方にとって、令和7年は“収入の壁”が大きく動いた年です。

所得税は2025年分(2025年1~12月の収入)から、住民税は2026年度(2026年6月以降の課税)から制度改正が適用され、配偶者控除の判定基準も見直されました。

すでに始まっているこの制度改正を、今こそ整理しておきたいタイミングです。

「103万円の壁」が「123万円の壁」へ

これまで「103万円の壁」は、所得税の配偶者控除を受けるための収入基準でした。

2025年分の所得からは、給与所得控除65万円+基礎控除58万円=合計123万円までが非課税となり、「123万円の壁」が新基準となります。

また、納税者本人の合計所得金額が900万円(給与収入のみなら年収1095万円)を超えると控除額が段階的に減少し、1000万円(給与収入のみなら年収1195万円)を超えると配偶者控除の適用外となる点にも注意が必要です。

「160万円の壁」も登場

2025年・2026年は、基礎控除が最大95万円まで拡充される特例が導入されます。給与所得控除と合わせると、収入160万円まで課税されない可能性があり、「160万円の壁」と呼ばれています。ただし、控除額は所得に応じて変動するため、個別の確認が必要です。

以下の表は、2025年・2026年の制度改正後における、配偶者の年間給与収入ごとの課税・控除の違いを整理したものです。
2025年・2026年の制度改正後における、配偶者の年間給与収入ごとの課税・控除の違い(図版は筆者作成)

2025年・2026年の制度改正後における、配偶者の年間給与収入ごとの課税・控除の違い(図版は筆者作成)

※表についての補足・注意点
本表は東京都の①納税者本人の合計所得金額が900万円(給与収入のみなら年収1095万円)以内②基礎控除のみを考慮したモデルです。住民税の非課税基準や控除額は自治体により若干異なる場合があります。控除対象配偶者が70歳以上の「老人控除対象配偶者」に該当する場合は、控除額が上乗せされます。

社会保険の「106万円の壁」とは

税金とは別に、社会保険の加入基準にも“壁”があります。以下の条件を全て満たすと、勤務先の健康保険・厚生年金に加入が必要です。
  • 週20時間以上勤務
  • 月収8万8000円以上(年収約106万円)
  • 勤務期間2カ月以上見込み
  • 学生でない
  • 従業員数51人以上の企業
このラインを超えると、社会保険料の自己負担が発生します。

「106万円の壁」は撤廃予定

令和7年に成立した年金制度改正法により、「106万円の壁」は令和8年までに撤廃される予定です。企業規模要件も段階的に縮小され、週20時間以上働く人は社会保険加入の対象となる可能性が高まっています。

働き方の選び方は“損得”だけではない

制度を知ったうえで働き方を考えるとき、大切なのは「自分にとってのちょうどよさ」です。
  • 控除の範囲で働くことで自由度を保つ
  • 社会保険に加入して保障を得ながらしっかり働く
どちらも選択肢です。今の生活に合っているか、これからどう働きたいかという視点が大切です。

50代からの働き方は“人生設計”とセットで

子育てが落ち着き、親の介護や自分の老後を見据えるタイミング。働き方を考えるときは、収入だけでなく「これからの暮らし方」も一緒に見つめ直すことが大切です。

制度の変化を知ることは、損をしないためだけでなく、自分らしい働き方を選ぶための第一歩。「壁」に縛られ過ぎず、納得できる選択をしていきたいですね。
 
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