今回はデータをもとに、シニアのフリーランス事情とメリット、そしてどんな働き方があるのかを見ていきましょう。
シニアのフリーランスの割合は?
総務省統計局「令和4年就業構造基本調査」によると、15歳以上の働く人のうち本業がフリーランスで働いているのは209万人(全体の3.1%)。男女別では男性が146万人、女性が63万人と男性の割合が多くなっています。また、フリーランスの人数が多い年代は40代後半~50代となっています。しかし、さらに細かく年齢階級別に、本業がフリーランスの人が有業者に占める割合を見ると以下のとおりです。
・45~49歳:3.0%
・50~54歳:3.0%
・55~59歳:3.4%
・60~64歳:3.7%
・65~69歳:5.4%
・70~74歳:6.5%
・75歳以上:8.0%
年齢階級が上がるにつれて割合が高くなっていることが分かります。つまり、フリーランスはまだ少数派ではあるものの、「生涯現役」でいたいシニアにとっては、自分のペースで続けやすい働き方の1つといえるでしょう。
シニアがフリーランスで働く5つのメリット
シニアがフリーランスで働く場合のメリットは次の5つです。●メリット1:時間の自由度が高い
自分の体調や生活リズムに合わせて仕事ができるのが大きな魅力。朝型・夜型、週に数日だけなど、無理のないスタイルを選べます。趣味や家族との時間も大切にしやすくなります。
●メリット2:経験や得意分野を生かせる
「自分なんて大したことをしてこなかった」と思う方もいるかもしれませんが、長年積み重ねてきた経験や知識は若い世代にはない財産です。専門分野や趣味をベースに仕事を選べるため、やりがいにつながります。
●メリット3:年金が減らない
会社勤めの場合、在職老齢年金の制度で年金が減額されることがあります。しかしフリーランスなら、収入がいくら増えても年金は減りません。安心して「働きたい分だけ働ける」ことが大きなメリットです。
●メリット4:自己成長とチャレンジの機会
自分で仕事を選ぶ分、新しいスキル習得が求められることもあります。その過程自体が刺激となり、やりがいや達成感をもたらします。年齢に縛られず「何歳からでも挑戦できる」のがフリーランスの強みです。
●メリット5:人とのつながりが広がる
フリーランスは案件ごとにさまざまな人と関わる機会があります。異なる年代や業種の人と出会えるため、新しい世界が広がり、刺激や学びも得られます。定年後に人間関係が狭まりがちな時期に、仕事を通じて交流できることは大きな心の支えになります。
シニアが活躍できるフリーランスの仕事例
「自分にはスキルがない」と思う人でも、実は身近な経験や得意分野を生かせる仕事はたくさんあります。大切なのは、自分の性格や好きなことに合った働き方を選ぶことです。●自宅でコツコツ作業が好きな人
・ライター/編集者:専門知識や経験を記事にまとめ、雑誌や企業サイトで需要があります。
・翻訳/通訳:語学力を生かして在宅案件に挑戦可能。自分のペースで働けます。
・デザイナー:グラフィックやWebデザインなど。ソフトが使えれば自宅で案件を受けられます。
●ものづくりが好きな人
・ハンドメイド販売:手芸や木工、クラフト作品をネットショップやフリマで販売。趣味をそのまま収入につなげられます。
●教えるのが好きな人
・オンライン講師/コーチ:英会話、料理、写真、ITスキルなど、自分の得意分野をZoomや動画で教えられます。
●人の相談にのるのが得意な人
・コンサルタント/カウンセラー:長年の仕事経験を活かして、経営・キャリア・マネーなどの分野で助言や相談ができます。
フリーランスは「好きなことを選ぶ」のが正解
シニアがフリーランスを始めるときに大切なのは、大きな挑戦をするよりも「できることから無理なく」です。月数万円の副収入でも、生活にゆとりが出たり、社会とのつながりを感じられたりします。また、オンラインでの仕事が広がっているため、自宅にいながら全国の仕事に挑戦することも可能です。「こんなことが役に立つの?」と思っていた経験や趣味が、意外な形で仕事につながるケースも少なくありません。
生涯続けていくなら、やはり「好きなこと」「得意なこと」をベースにするのが一番。無理なく楽しみながら取り組めることこそ、長く続けられるフリーランスの働き方です。