<目次>
Netflixシリーズ『イカゲーム』とは?
2021年9月に『イカゲーム』シーズン1の配信がスタートすると世界中が熱狂。みるみる数字を伸ばして、配信開始から4週間で世界1億4200万世帯が視聴し、Netflixの大ヒットシリーズになりました。またシーズン1は、アメリカ最大のテレビ界の祭典、第74回プライムタイム・エミー賞で、イ・ジョンジェが主演男優賞、ファン・ドンヒョクが監督賞(ドラマ・シリーズ部門)を受賞。いずれも非英語圏&韓国作品として初受賞という快挙を成し遂げました。その勢いを付けて制作されたシーズン2(2024年配信)に続き、2025年、ついに最終章であるシーズン3が2025年に配信され、物語は完結……。
All Aboutでも『イカゲーム』シーズン1、『イカゲーム』シーズン2の特集をしました。
『イカゲーム』特集シーズン1
『イカゲーム』特集シーズン2
今回はシーズン3の紹介とともに総まとめをします。
シーズン3の主な登場人物
ギフン(イ・ジョンジェ):主人公 シーズン2では参加者と共に運営側に反旗を翻すが、親友の命が奪われてしまう。しかし、デスゲームを止めることを諦めきれず再びゲームに参加する。ジュニ(チョ・ユリ) シーズン2で妊娠していることが判明し、妊婦の身でゲームを勝ち抜く。そしてシーズン3のゲーム中に出産。なんと赤ちゃんと共にゲームに参加。
ミョンギ(シム・シワン) 暗号通貨関連のYouTubeチャンネルを運営し、利用者に多額の損害を与えたインフルエンサー。合理的な性格で冷静にゲームを勝ち抜いていく。ジュニの赤ちゃんの父親。
ヨンシク(ヤン・ドングン) 借金まみれのギャンブラー。借金を返すためにゲームに参加。会場で母のクムジャと会い、二人三脚で勝ち抜いていく。
クムジャ(カン・エシム) 息子の借金を返済しようとゲームに参加したヨンシクの母。身重のジュニを気遣い、出産も手伝う。朝鮮戦争を生き抜いた知恵でゲームを勝ち抜いていく。
ヒョンジュ(パク・ソンフン) 性別適合手術の費用を工面するためにゲームに参加したトランスジェンダーの女性。元特殊部隊という経歴を生かして、リーダーシップを発揮。仲間思いの優しい性格。
ジュノ(ウィ・ハジュン) 失踪した兄のイノを探し続ける元刑事。イカゲームが開催されている場所を探し続け、シーズン3ではついにその場所を突き止め、島へ潜入しようとする。
フロントマン/イノ(イ・ビョンホン) 仮面をかぶってイカゲームを指揮するジュノの兄で、元警察官。かつてゲームに参加し、優勝した経験がある。シーズン2ではギフンの仲間を装いゲームに参加していたが、シーズン3では再び残酷なゲームを開催し、世界のセレブと共に高みの見物をする。
ノウル(パク・ギュヨン) 運営側に雇われ、ゲーム内の参加者を管理・監視するピンクガードの1人。脱北した際に息子を残してきたことが気がかり。脱落者の臓器売買に手を染めるピンクガードらを阻止しようとする。
ギョンソク(イ・ジヌク) ゲームの参加者。白血病の娘の治療費を稼ぐためにゲームに参加。ピンクガードのノウルと顔見知り。
シーズン3の物語
シーズン2の後半、ギフンを中心に仲間が運営側に反撃をした末、激しい銃撃戦に突入します。しかし、運営側はビクともせず、反撃は失敗。ギフンはその戦いで親友を失い、どん底に。やがてゲームは再開され、生き残った者たちはゲームに参加することになります。 ゲームの脱落者が次々に死んでいく中、ギフンはジュニから生まれたばかりの赤ちゃんを頼まれます。そして迎えた最後のゲーム。運営側に抵抗し続けたギフンが選んだ人生は? 勝者は?『イカゲーム』シーズン3は期待を超えたか?
シーズン2で運営側に反旗を翻して銃撃戦になった後、シーズン3はどのような展開になるのかと楽しみにしていた人は多いでしょう。筆者もその1人です。エピソードを見るたびに「次もすぐ見たい」と思わせる中毒性が『イカゲーム』の魅力。その視聴者を惹きつけるパワーはシーズン3にも建材でした。でも物足りなさを感じる部分も……。では、シーズン3について、項目別に見ていきましょう。
【ゲームの面白さは?】 ゲームの面白さが光ったのは圧倒的にシーズン1で、ゲームを重ねるごとに参加者の人間性が浮き彫りになっていく展開は見事でした。この面白さをシーズン2や3にも期待したのですが、特にゲームの数が増えることはなく、いずれも3つのゲームでした。
シーズン3のゲームについて
1:かくれんぼ 参加者は赤、青に分かれビブスをつけて迷路に入る。制限時間は30分。赤は鬼役なので、青を見つけて1人でも殺せばゲームクリア。青は鍵を使い、迷路内の各部屋にあるドアに付いた3つの鍵穴(四角、三角・丸)に鍵を刺してドアが開けばゴールできる。しかし、出口のドアは1つだけ。鍵を3つ集めないといけない。
(どう考えても青が不利な気がしましたが、その点についてはスルーされていたような……)
2:大縄跳び 高台に橋がかけられ、参加者はその上で、巨大人形ヨンヒが回す大縄跳びに挑戦。縄を飛びながら向こう側に渡れば成功。脚を引っ掛けたり、バランスを崩したりして落ちたら即死。
3:天空イカゲーム
背の高い四角柱、三角柱、円柱があり、四角柱の上に立った参加者たちは、自分以外の参加者を押し出して落下させる。三角柱でも同じことを行い、最後の円柱で他者を押し出せば、残った参加者がゲームの勝者。賞金を受け取れる。
シーズン2と同様にゲームの数が3つなので、1つのゲームの時間が長くなり、テンポが悪くなった印象。またゲームの面白さよりも、ゲーム内で展開される参加者のドラマに重点が置かれており、シーズン1のように細かいところまで丁寧に作り込まれてはいなかったのが残念!
【主人公ギフンの活躍は?】 シーズン1ではダメ男のギフンがデスゲームに参加して死を意識することで、生き抜くことへの情熱と人の命を弄ぶことへの怒りが生まれます。
シーズン2はまだシーズン3へのつなぎだったから現状維持でもよかったのですが、シーズン3では、なんとシーズン2よりもギフンの活躍の場が少ない印象。
親友を失った上、ゲームを終わりにすることに失敗し、絶望したのかもしれませんが、主人公は何があっても物語の中心にいてくれないと!
【サイドストーリーの面白さは?】 『イカゲーム』はサイドストーリーの面白さも魅力。ゲームの脱落者を射殺するピンクガードの中に臓器売買に手を染める者がいたり、そんな彼らを憎む者がいたり(ノウルがその1人)。
また、フロントマンの弟ジュノがイカゲームの開催地を突き止めようと探しまくる中、仲間にスパイがいたことが分かるというスリリングな展開には、「早く見つけてなんとかして!」とハラハラ。 これらのサイドストーリーは、『イカゲーム』はギフンたち参加者だけの人生を描いているわけではないことを示しています。ただ、ギフンらの本筋により深く絡んできたらもっと面白くなったかもしれないと思いました。
【キャラクターの魅力は?】 シーズン3はシーズン2の登場人物が継続していますが、1人だけ重要な新キャラが登場します。ジュニの赤ちゃんです。かわいらしい赤ちゃんの存在が、ギフンたちの行動範囲を狭め、スリルを生み出すのです。
物語が赤ちゃん中心になっていくという予想外の展開! ギフンなんてまるでお父さんのように、後半はずっと赤ちゃんを抱っこしていますからね。そういう意味では意外性のある新キャラと言えるかも。
シーズン2からのキャラでは、息子のためにデスゲームに参加した母のクムジャとトランスジェンダーのヒョンジュが前シーズンに続き魅力的。クムジャは、思いやりがあり、命懸けでジュニの出産を手伝っていましたが、その後「命」を選択するという難しい局面に立たされます。このときのクムジャの決断は胸が痛かったです。
ヒョンジュはトランスジェンダーゆえに人間関係で苦い経験をたくさんしてきたけれど、人を信じ、仲間を守る包容力がありました。
こういう“いい人”がいるからこそ、自分のことしか頭にない利己的な悪人との対比が生まれたのです。残酷な世界の中で“人間の善悪”をきっちり描いたドラマだったと言えます。
ラストシーンと『イカゲーム』の未来
ラストはインパクトがありました! まず最後のゲームで決まった勝者と物語をけん引してきたギフンの選んだ人生。そして、その後に映し出されるアメリカの風景とそこで起こるエピソードには驚きが!『イカゲーム』は必ずしも韓国だけで行われるゲームではない……。その先を予感させるラストには期待しかありません。実際、アメリカでのリメイクがうわさされているし、ジュニの赤ちゃんのその後も気になるし……。
『イカゲーム』の今後の展開を楽しみに待ちましょう!
『イカゲーム』シーズン1~3
配信:Netflixシリーズ『イカゲーム』シーズン1~3:独占配信中監督・脚本・製作総指揮:ファン・ドンヒョク
出演:イ・ジョンジェ、イ・ビョンホン、イム・シワン、カン・ハヌル、ウィ・ハジュン、パク・ギュヨン、パク・ソンフン、ヤン・ドングン、カン・エシム、チョ・ユリ、チェ・グッキ、イ・デヴィッド、ノ・ジェウォン、チョン・ソクホ、パク・ヒスン(特別出演)