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親の生活を支えつつ節税もできる?「扶養控除」のポイント徹底解説

扶養といえば配偶者や子どもを思い浮かべがちですが、実は親も条件を満たせば扶養に入れられます。ただし、扶養には「税金(所得税)」と「健康保険」の2つの意味があり、それぞれ適用条件が異なります。今回は、所得税の扶養について分かりやすく解説します。※サムネイル画像出典:amanaimages

舟本 美子

舟本 美子

おひとりさまのお金・ペットのお金 ガイド

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親が定年を迎えたり、体調が心配になってきたりすると、「そろそろ経済的な支援を……」と考える人が多いかもしれません。

そんなときに気になるのが、「親を扶養に入れた方がいいの?」ということ。扶養といえば配偶者や子どもを思い浮かべがちですが、実は親も条件を満たせば扶養に入れられます。

ただし、扶養には「税金(所得税)」と「健康保険」の2つの意味があり、それぞれ適用条件が異なります。今回は、所得税の扶養について分かりやすく解説します。
親の扶養で節税できるかも?知って安心の条件とポイント解説(画像出典:amanaimages)

親の扶養で節税できるかも?知って安心の条件とポイント解説(画像出典:amanaimages)

扶養控除の対象となる親の条件とは?

親を扶養控除の対象として申告するには、次の3つの条件全てを満たす必要があります。

【所得税法上の条件】
・親の合計所得金額が48万円以下であること
親が給与収入のみの場合は103万円以下、年金収入のみなら65歳未満で108万円以下、65歳以上で158万円以下が該当します。

・親が青色申告者の事業専従者として給与をもらっていない、または白色申告者の事業専従者でないこと
青色申告者・白色申告者とは、個人事業主やフリーランスなどで確定申告を行う事業者のことをいいます。

・親と「生計を一」にしていること
親と一緒に生活していることをいいます。

このうち、特にポイントとなるのが「生計を一にしているかどうか」です。

同居していれば、原則として生計が同じと見なされますが、別居している場合でも、仕送りや医療費の負担など、継続的に生活費を支援していれば対象となる可能性があります。

国税庁によれば、別居の親を扶養に入れる場合、生活費や療養費などを常に送金している必要があるとのこと。証明書類の提出までは義務付けられていませんが、念のため銀行の振込明細や現金書留の控えを残しておくと安心です。

なお、支援額に具体的な金額の決まりはありませんが、継続的に援助しているという実態が重要です。判断に迷うときは、税務署に確認するのが確実です。

参照:No.1180 扶養控除|国税庁

親を「扶養」に入れると所得控除はいくら?

親を扶養に入れると、自分の所得税の計算時に「扶養控除」を受けられます。扶養控除額は、以下のとおりです。

【70歳未満の親】
・38万円の控除(一般の控除対象扶養親族)

【70歳以上の親】
・同居している場合:58万円の控除(老人扶養親族の同居老親等)
※同居老親等とは、70歳以上の直系尊属(親や祖父母)で、納税者または配偶者と同居している場合を指します
・別居していても仕送りなどで扶養している場合:48万円の控除(老人扶養親族の同居老親等以外の者)

入院などで一時的に別居している場合でも、生活の本拠が同一と見なされれば『同居』扱いになるケースもあります。一方、老人ホームなどの施設に入所している場合は、一般的に『別居』と扱われることが多いです。

また、親が障害者に該当する場合は、障害者控除を追加で受けることも可能です。※一般障害者は27万円、特別障害者は40万円の控除が適用されます。

参照:No.1180 扶養控除|国税庁

所得控除を受ける際の注意点

所得控除を受ける際には、2つの注意点があります。

親を扶養に入れることで、親の住民税非課税判定に影響することがあります。例えば、住民税非課税世帯を前提とした各種支援(給付金、医療費助成など)を受けられなくなる可能性があるため注意が必要です。

また、兄弟姉妹で親を支援している場合でも、扶養控除を受けられるのは原則として1人のみです。1人の親に対して複数人が支援していても、扶養親族として控除対象にできるのは、そのうちの1人の納税者に限られます。親を扶養に入れる際は、所得条件や生活実態、世帯全体への影響も踏まえて、慎重に検討しましょう。
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