食と健康

Q. 「生のほうれん草を、そのまま炒めて食べると危険」って本当ですか?

【管理栄養士が解説】ほうれん草に多く含まれるシュウ酸は、結石の原因になるといわれています。そのため一般的には下ゆでしてからの調理が推奨されていますが、過度に心配する必要はありません。分かりやすく解説します。

平井 千里

執筆者:平井 千里

管理栄養士 / 実践栄養ガイド

Q. 「生のほうれん草を、そのまま炒めて食べると危険」って本当ですか?

ほうれん草を刻んでいる人の手のアップ

生のほうれん草、そのまま炒めて食べるのは危険?


Q. 「生のほうれん草を、そのまま炒めて食べるのは危険だと最近知りました。これまでよく、さっと洗ってそのまま炒めたり、生のままスープに入れたりしていたのですが、リスクが高いと考えたほうがいいですよね? 尿路結石はとても痛いと聞くので、不安です」
 

A. 連日大量に食べていない限り、過度な心配は不要です

体の中にできる「結石」は、非常に強い痛みを伴うことがあります。特によく聞く「尿路結石」の中でも、最も多く見られるのが「シュウ酸カルシウム結石」です。

ほうれん草には、「シュウ酸」が豊富に含まれており、シュウ酸はこの結石を作ってしまう成分の1つです。「ほうれん草を下ゆでせずに食べていたら、結石ができた」といった体験談が注目を集めたこともありましたので、質問者の方も、そういった情報を見て不安になられたのでしょう。

確かに、シュウ酸を多く含む食品を大量に食べると、結石のリスクにつながることがあります。そのためほうれん草も、「いったん下ゆでをして、シュウ酸を取り除いてから調理する」方法が推奨されています。しかし、実際に結石が作られるほど明らかにリスクが高くなるのは、連日大量に食べ続けたケースです。一般的な量であれば、下ゆでなしで調理をしたとしても、基本的には問題ないと考えられています。

いくらほうれん草が好きな人でも、連日「どんぶり1杯」といった量で食べ続けることは通常ないでしょう。それくらい極端なケースでない限り、心配し過ぎる必要はありません。

特に、新鮮なほうれん草はえぐみも少ないので、下ゆでせずに、生の食感を楽しみたいものです。常識的な量であれば、時間がないときは生のまま炒めたり、スープやみそ汁などに入れて召し上がっても問題ありません。ほうれん草は非常に栄養豊富な緑黄色野菜の1つです。「結石が不安だけど、下ゆでする時間が面倒だからほうれん草は食べない」と考えるのは、もったいないことです。リスクを限りなく抑えたいなら下ゆでをするのに越したことはありませんが、ほうれん草の豊富な栄養とのバランスを考えることも大切です。

手間はかけたくないけれど、それでもシュウ酸が気になる方は、一口大にカットした後、水さらしをしてください。シュウ酸は水に溶けますので、水にさらすだけでも少し減らせます。シュウ酸の少ない、生食用のほうれん草などを活用するのもよいと思います。

■参考
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