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いかけやさんに学ぶ"大切に使う"というエコ(3ページ目)

いかけやさんを知っていますか? 江戸時代から昭和30年代頃まで鍋や釜の修理をしてくれた職人さんのことです。そのいかけやさんが現代に復活していると聞き、訪ねてみました。

筑波 君枝

執筆者:筑波 君枝

ボランティアガイド

穴より多い、鍋釜のトラブルは?

取っ手を作り直す
鍋ややかんの修理は、元の形に近い取っ手をいかけやさんが自ら作ってくれることもあるそうです。
鍋や釜などは、穴のほかに、持ち手や取っ手が取れた、ふたのつまみが取れたといったトラブルが多く寄せられています。確かに鍋の取っ手や持ち手は、使っているうちにプラスチックが溶けちゃったり、木の部分が焼けちゃったりするんですよね。捨てるに忍びないし、代わりの取っ手はなかなか市販では合わなかったりしますよね。そういった場合は、上の写真のように、新しい持ち手や取っ手を木で作ってくれます。

取っ手の修理
作った取っ手をしっかりとつければ完成。
市販のプラスチックの取っ手を使うこともありますが、本体のつける部分の土台が合わない場合が多いのだとか。そういったときは鍋の本体を、つけられるように加工し直してくれるそうです。他にも庖丁の柄の交換などにも対応しています。これらは、破材などを集めてストックしておき、利用するそうなので、ムダもありませんね。

費用もとてもリーズナブル。包丁研ぎは200円~、婦人靴 500円~1000円、鍋の取っ手直しは500円~900円、傘の修理は、なんと100円からだそうです。こんな場所がご近所にある板橋区の皆さんがうらやましい!

お金じゃ買えない物を大切に使う

庖丁の柄
ボロボロの庖丁の柄も新しく作り替えてくれます。
紹介した以外にも、現代のいかけやさんのところにはさまざまな修理依頼が届きます。依頼されて受けて直らなかった物は、数えるほどなのだそうです。

「こういう物は、直らないですよねぇ」
といった難しい依頼が来ると
「イヤ、なんとかしてみます!」
と、いかけやさんの沽券にかけて、知恵と技術をフル回転させつつ、直さなければ!と思うのだそうです。ますます頼もしい!

依頼品は日常的に使っていて「捨てるのがもったいない」というだけではなく、「思い出があるから」「使い慣れているから」など、物に思い入れを持っている人からの依頼も多くあります。たとえば、靴なら「履きやすいからこれじゃなきゃダメ」という年配の方が圧倒的に多いのだそうです。履き慣れた靴は、お金じゃ買えないですものね。

使い慣れたものを修理しながら使う知恵は、鍋釜に限らず、40~50年前までの日本では当たり前のことだったんですよね。日常のさまざまな物をそうやって大切に使っていくのが、庶民の知恵だったのでしょうね。

でも今の時代、修理をするってもしかして贅沢なのかもという話を次ページで。
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