国内生産だけで可能なのは8000万人
北海道富良野の小麦畑。小麦の自給率は14.1%、大豆に至ってはわずか5%にすぎません。 |
ガイド記事「20XX年、日本人の食は1日2食になる?」で、海外からの輸入がストップしたことを想定すると、カロリーベースにして現在の3分の2の食料しか供給できないことを紹介しました。これは農林水産省の「食料安全保障」で発表された数字が元になっています。減反している水田や休耕田を耕し、ありとあらゆる方法で食料を生産して、現在の3分の2だろうという試算です。これを人口に置き換えると、約1億2000万人の3分の2なので、8000万人といったところでしょうか。
でも、これは石油が今まで同じように手に入ることが前提で想定されている数字。石油の確保が難しくなると、8000万人分の食料を作り出すのは厳しいでしょう。
食べ物は石油でできている
保温や防虫のために敷くマルチ。紙製もありますが、多くはビニール製です。 |
そう思うかもしれませんね。それは、現代の農業が石油がないと成り立たないためです。農薬も化学肥料も、石油で作られています。ビニールハウスなどの農業資材にも石油が必要です。耕耘機やトラクターなどの機械も収穫物を運ぶ車もガソリンがないと動きません。漁業にしても畜産業にしても同様に石油がないと、今と同じ生産量を維持することは難しいでしょう。
食べ物は石油でできているといっても過言ではないのです。
現代の農業では、収穫量の2.6倍のエネルギーが必要だといわれます。1キロカロリー分の米を作るためには2.6キロカロリー分の石油が必要になるという計算です。もし、石油の輸入が困難になれば、これらの価格もあがり、現在と同じ生産量を維持するのは難しいといわざるを得ませんよね。