団塊世代で、全共闘世代
「カンチ~」に涙した名作ドラマ「東京ラブストーリー」の主題歌も収録されているアルバム「Oh!Yeah!」 |
この世代のヒーローといえば、吉田拓郎さん、岡林信康さんに、泉谷しげるさん、五つの赤い風船などフォークのカリスマたちです。70年代の学生運動のさなか、フォークソングはメッセージソングでした。メッセージとは、社会への批判であったり、弱者への共感であったり、生活の中で感じる理不尽な思いであったり……。日々の暮らしの中からテーマを探して歌を作る方も多く「四畳半フォーク」などともいわれましたっけ。
切々と歌う愛
カリスマたちと同世代の小田さんは1970年のデビュー。しかし、オフコースは不遇時代が意外に長く、ブレイクしたのは1979年に発表された「さよなら」が大ヒットして以降でした。そして、80年代前半には数々の大ヒットを飛ばし、時代を代表する存在となったわけです。歌ったのは、ずばり愛。切々と愛を歌い上げる小田さんの美しいハイトーンボイスが、女性たちの心の柔らかい部分をグッとつかんでいきました。が、その声と歌詞のゆえに「女々しい」「ネクラ」「軟弱」と揶揄されることにもなったわけです。軽薄短小な浮かれたご時世だったこともありますが、メッセージ性の強い70年代フォークに比べると、愛だの恋だのが、女々しくも映ったのでしょう。
愛の中にある普遍的なメッセージ
そんな風に軟弱だ、女々しいといわれた小田さんの楽曲ですが、その言葉の中に巧みに社会へのメッセージが織り込まれていたりします。たとえば、中学の教科書に採用されている「僕等の時代」などはまさしくそう。「あなたは『昔は良かった』と言ってばかりだけど、時代はちょっとずつ移り変わっていく。だから一緒に歩こうよ」
といった内容の歌詞です。「あなた」が恋人を指すのか、友人を指すのか、それとも聞いている1人ひとりに向けているのかは、それぞれの受け取り方でしょう。それによってラブソングにも、友人または自分自身への応援ソングにも聞こえます。そして「時代は、移り変わっているんだ」といった意味の今も色あせない普遍的なメッセージが心に残っていきます。
「生まれ来る子供たちのために」には、もっとストレートなメッセージが込められています。→→それは次ページへ!