もし、家族が臓器提供の意思を持っていたら
日本臓器移植ネットワークでは、各地で普及活動を行っています。©日本臓器移植ネットワーク |
ガイドだったらと、考えてみます。自分が死を迎えるときに、臓器提供できるかどうかと考えると、心肺停止なら……と思いますが、脳死ではどうでしょう…? さらに、もしも家族が脳死後に臓器移植の意思を持っていたとしても、それに同意できるでしょうか? 正直、自信がありません。可能な限り意思を尊重したい、尊重すべきとは思います。でも、その家族が、もしわが子だったら、無理かもしれない……とも思います。
脳死とは、大脳も小脳も脳幹も働きがなくなってしまった状態です。二度と元に戻らず、人工呼吸器がないと自分で呼吸ができません。それでも数日後に心臓が止まってしまうのです。と、知識として理解しているつもりです。
でも、目の前にいる家族がと考えると躊躇するような気がします。それはやはり気持ちのどこかで、死とは心臓が停止したことを指し、脳死を人の死と受け止められない自分がいるからです。よく言われますが「まだ体があたたかい」家族の、そしてわが子の死を受け入れられるかどうか……自信がありません。
もし、わが子に移植が必要と宣告されたら
では、立場を変えて「もし私の家族が移植医療に頼らないと、治らない病気になったら」と考えるとどうでしょう。特にわが子が移植をしないと余命●ヵ月といった宣告をされたら……。傲慢さを承知のうえでいえば、1%でも可能性があればそれに希望を託してしまうでしょう……。なりふりかまわず、子どもの生を願う。それが親であるとも思います。そう考えると、臓器の提供によって、新しい人生を始めることのできる人がいるのだと気づかされます。自分の死をあるいは家族の死を「悲しみ」だけで終わらせないですむことができるかもしれません。
移植医療という問題とどう向き合えばいいのか、それは自分が提供する側とされる側の両面から考えていかなければいけない問題なのです。そう考えると、なおさら、簡単に答えが出せませんね。
だからこそ、一度、きちんと考えてみませんか? 自分の臓器をというだけではなく、自分にも起きるかもしれないこととして、ご家族と一緒に移植医療を考えてみませんか? ガイド自身ももっと深く考えてみようと思っています。
臓器移植法が制定されて10年。移植ネットワークでは各地で普及活動を行っています。お近くで行われる際にのぞいてみてはいかがでしょうか。
詳しくは、日本臓器移植ネットワークにお問い合わせください。臓器提供をしたご家族の、そして受けた人たちの体験談を綴った資料も豊富です。一度、ぜひ読んで自分のこととして考えてみてください。
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