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バイオエタノールがアマゾンを焼きつくす!?

ブラジル先住民カヤポ族の長老、ラオーニ氏が18年ぶりに来日しました。かつてスティングと共にワールドツアーを行った人物です。温暖化が叫ばれながらも減少続ける熱帯林。その保護と先住民への支援を訴えます。

筑波 君枝

執筆者:筑波 君枝

ボランティアガイド

アマゾンの森からの警告

記者会見
熱帯森林保護団体(RFJ)、代表の南研子さん、ラオニー氏、RFJブラジル事務局のパウロ氏(左から)
「森がなくなると、風が吹き荒れ、ヒョウが降り、世界が滅びる。なぜ文明人たちはそのことに気がつかないのか」

ブラジルの先住民、カヤポ族の長老ラオーニ氏は、東京で開かれた記者会見でこう静かに訴えました。

カヤポ族の呪術師でもあるラオーニ氏は、ブラジル・インディオのカリスマ的存在です。年齢80代後半~90歳と推定されますが、威厳のある風格と凛と背筋を伸ばした大きなからだは、年齢を感じさせません。ジャングルに生きる精霊たちの声に耳を傾け、神聖な儀式などのまつりごとを司るだけでなく、医師の役目をも務めています。ブラジルでは偉大な呪術師と知られ、「彼が動くと、政府が動く」といわれるほどの影響力を持っている人です。

1989年、イギリスのロック歌手スティングと共に「アマゾンを守ろう」というワールドツアーで日本にもやってきました。当時、大きな話題になったので、そういうと、ピンと来る方も多いかもしれませんね。先住民族の存続と熱帯森林の保護を訴えるために、18年ぶりに日本に来日しました。

私たちの暮らしとつながる森林破壊

アマゾン
太古の昔から育まれてきたアマゾンの熱帯森林。©RFJ
アマゾンの熱帯森林は、地球上の酸素の約3分の1を生産し「地球の肺」と呼ばれています。その消失が地球規模の環境問題として心配されているのは、皆さんもご承知の通りです。しかし、消失は止まるどころか、ここ数年で毎年東京都の約12倍の面積にあたる約2万6000平方kmも減少し続けています。ブラジルで排出される二酸化炭素を含む温室効果ガスの8割は、開発のための森林を伐採し、焼き払った際に排出されているものともいわれます。

ラオーニ氏の住むシングー・インディオ国立公園は、アマゾン川支流、シングー川流域に位置しています。ブラジル中央部のパラ州とマト・グロッソ州にかかる8万平方km(日本の国土の約半分)を占め(地図はこちら)、先住民の永久保護区としてブラジル政府によって承認されていますが、その周辺は急速に開発が進んでいるのです。

きのこ雲のように立ち上る森林を焼く煙

焼き払った後
無惨にも焼き払われた森林。この後、牧場や畑へと転用される。©RFJ
アマゾンの先住民の支援を続け、ラオーニ氏を招へいした熱帯林保護団体(RFJ)の代表、南研子さんは開発が進むアマゾンの森の様子をこう話します。

「ブルドーザーが熱帯森林をなぎ倒し、数週間、乾燥させた後、森に火が入れられます。何日もの間、まるでキノコ雲のような煙がもうもうと立ち上がり、周辺は大きなたき火の近くにいるような状態。鼻を突く匂いがまん延し、風が吹くとその煙がインディオの村にも届き、目や喉が痛み、呼吸するのも大変なほどなんです」

そして、その煙は、私たちの暮らしにつながっています。

次ページでは、なぜアマゾンの開発が止まらないのか、そしてそれが私たちの暮らしにどうつながっているのかについてです。
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