税金

公的年金受給者が住民税非課税になると、どんなメリットがある?

住民税が非課税になるということは国民健康保険のその算定にも影響を与えます。したがって、公的年金受給者で住民税が非課税とはどういう収入状況で、それが国民健康保険などの算定にどういう影響があるか、一方で優遇措置がないかなどを整理してみました。

田中 卓也

執筆者:田中 卓也

税金ガイド

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<目次>
年金受給者が住民税非課税の場合の優遇措置とは?

年金受給者が住民税非課税の場合の優遇措置とは?

年金受給世帯で住民税非課税ということは、「所得が少ない」ということを指します。また、住民税が非課税になるということは国民健康保険のその算定にも影響を与えます。

ここでは、公的年金受給者で住民税が非課税とはどういう収入状況で、それによって国民健康保険などの算定にどういう影響があるか、一方で、住民税非課税であることで優遇措置がないかなどを整理していきましょう。

公的年金受給者で住民税が非課税になる状況とは

公的年金受給者で住民税が非課税になる状況とは、どのような状況を指すのでしょうか。

住民税は各都道府県、各市区町村が課税するので細かな部分で違います。ここでは、東京都の例で見てみましょう。

住民税は、おおまかに所得金額に応じた所得割、住民全体で広く均等に負担する均等割に分かれるのですが、東京都の場合で所得割・均等割とも非課税となるためには……

①生活保護法による生活扶助を受けている方
②障害者・未成年者・寡婦またはひとり親で、前年中の合計所得金額が135万円以下の方
③前年中の合計所得金額が区市町村の条例で定める額以下の方

以上の条件のいずれかに当てはまることが必要です。

上記の規定で②「障害者・未成年者・寡婦またはひとり親で、前年中の合計所得金額が135万円以下の方」ということと③「東京都の条例の内容」が分かりづらいと考えられます。

まずは、②「合計所得金額が135万円」の場合、「公的年金の収入金額」がいくらなのかを考えてみます。
公的年金の収入金額から公的年金の所得金額をもとめるためには (出典:国税庁資料より)

公的年金の収入金額から公的年金の所得金額を求めるためには(出典:国税庁資料より)

「収入金額が公的年金だけ」と考えた場合、合計所得金額は公的年金等控除額を差し引いて求めるのですが、公的年金等に係る雑所得の金額は上記の図表のとおりとなるので、合計所得金額が135万円以下の方の公的年金の年収は以下の金額となります。
  • 65歳未満の場合……年収216万6000円未満
  • 65歳以上の場合……年収245万円未満
つまり、ご自身が寡婦(配偶者に先立たれた女性)の場合、この規定に当てはまっていれば、住民税は所得割・均等割とも非課税といえます。

東京都の条例における年金受給者で住民税非課税になる状況とは

次に、東京都の条例における年金受給者で住民税非課税とは、同一生計配偶者または扶養親族がいる場合であれば合計所得金額が……
  • 35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下
同一生計配偶者または扶養親族がいない場合であれば合計所得金額が……
  • 45万円以下
であれば、住民税は所得割・均等割とも非課税になるとされています。

よって、ここでは、設例を簡略化するために同一生計配偶者が1人というケースで考えてみます。

35万円×1人+31万円=66万円以下、ということとなります。

よって、
  • 65歳未満の場合……年収124万6000円未満
  • 65歳以上の場合……年収176万円未満
と算定され、ご自身が寡婦(配偶者に先立たれた女性)の場合と比較すると、年収金額が下がり、「生活していけるレベルなのか」という状況になってはじめて、住民税が所得割・均等割とも非課税になる、といえます。

住民税が下がると国民健康保険料が下がる

一般的に住民税のほかに勤務先を退職されたあと74歳以前は国民健康保険、75歳以上は後期高齢者医療制度の加入者となるのですが、例えば渋谷区の場合、この後期高齢者医療制度の保険料は……
  • 均等割額(4万7300円)+所得割額(賦課のもととなる所得金額×9.67%)
と、定められています。この賦課のもととなる所得金額は多くの市区町村でも、合計所得金額から43万円を控除した額、と定められています。

したがって、合計所得金額135万円の場合には均等割額の4万7300円のほか、135万円から43万円を控除した額に9.67%の所得割額がかかるので、合計で約13万6000円ちょっとの後期高齢者医療保険がかかる、ということになります。

合計所得金額から43万円を控除した額、という算定基準は住民税でも同様なので、住民税が非課税にならなくても、住民税の負担減少と後期高齢者医療保険に代表される国民健康保険の算定データ負担減少は連動する、ということはいえるでしょう。

一方、
「住民税が非課税になっても、後期高齢者医療保険がかかる場合がある」
ということは事実なので、押さえておきましょう。

住民税が非課税になったときの優遇措置とは?

さらに、住民税が非課税、あるいは所得金額が低いときの優遇措置について、東京都の場合で見てみましょう。
  • 当該年度の住民税が非課税の方
  • 住民税は課税だが、前年の合計所得金額が135万円以下の方
といった要件を満たした満70歳以上の都民の方であれば、都バス、都営地下鉄、都電、都内を走行する民営バス(19社)が定額で利用できる東京都シルバーパスを1000円で購入できるという措置があります。

このような制度はほかにもあり、例えば横浜市には敬老パスといった優遇制度があります。こちらは所得の状況によって利用者負担額に3200円、4000円、7000円と差があるのですが、「75歳以上の運転免許証返納者に3年間無料の敬老パスを交付」といった別の視点からの優遇措置もあります。該当者がいる場合の利用者負担額の条件や交付申請書のダウンロードなどは、横浜市健康福祉局へ問い合わせてみてはいかがでしょうか。

その他、ふじみ野市では、幼児教育、保育の無償化(あるいは負担減)、また、副食費の免除などの制度がホームページに記載されています。

ご自身の在住の都道府県・市区町村を調べてみてはいかがでしょうか。
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