一人暮らしのシニア世帯の約3割が賃貸物件を利用
総務省が行った2023年の「住宅・土地統計調査」によると、65歳以上の単身世帯のうち約3割(32.2%)が賃貸物件に住んでいます。賃貸物件は、以下のようなメリットがあり、一人暮らしの方にとって便利な選択肢となっています。【賃貸物件に住むメリット】
・住み替えが容易:ライフスタイルの変化や体力の低下に合わせて引っ越しがしやすい。
・トラブル対応が簡単:近隣トラブルなどの解決手段として住み替えが可能。
・不動産価値の影響を受けない:資産価値の下落を気にせず住める。
・住宅ローンの負担がない:月々の家賃で済むため、金銭的な管理がしやすい。
65歳になって会社を退職すると、ライフスタイルが大きく変化し、収入が減るため、家計を見直す必要が出てきます。その結果、家賃の安い物件や高齢者が住むのに適した住まいへの住み替えを検討する方も多いようです。
しかし、年齢を重ねると、入居審査に通るのかという不安を抱くことも少なくありません。「家主が高齢者の入居を拒むのではないか」「収入が減ったことで審査が厳しくなるのでは」といった心配が挙げられます。
60代以上の方が賃貸物件の入居審査をスムーズに通過するためのポイントにはどのようなものがあるのでしょうか。
シニアが入居審査を通過するための4つのポイント
シニアが住み替えをする際、入居審査を通過しやすい物件とは、以下になります。●公営の賃貸住宅を検討する
公営の賃貸住宅は、高齢者が住みやすいよう配慮されています。自治体が運営しているため、家賃が比較的安く、高齢者向けの設備やサポート体制が整っていることが多いのも特徴です。各地域で条件や設備が異なるため、地元の自治体に相談してみることをおすすめします。
●「シニア相談可」としている賃貸物件を選ぶ
高齢者向けの賃貸住宅や家賃債務保証制度を活用することも有効です。例えば、「シニア相談可」としている賃貸物件は、高齢者の一人暮らしに理解があるため、家主側も安心して受け入れる傾向があります。こうした物件を選ぶことで、審査が有利に働く場合があります。
さらに以下の点を満たせば、入居審査を通過しやすくなるでしょう。
●近くに家族・親戚などが住んでいる
近くに家族や親戚縁者が住んでおり、頻繁に交流する環境であれば、家主に安心感を与えることができます。家族などが近くにいることで、体調の変化や緊急事態に対応しやすい点も評価されるでしょう。また、家族などが連絡窓口になることで、家主との信頼関係を築きやすくなります。
●病院が近くにある物件を選ぶ
高齢者の場合、健康面でのサポート体制が入居審査のポイントとなります。病院が近くにあると、緊急時に速やかに対応できるほか、日常の通院にも便利です。家主にとっても安心材料となるでしょう。
もし、連帯保証人を用意できない場合は、「高齢者住宅財団」が行う家賃債務保証サービスが利用できる物件を探しましょう。家賃債務保証サービスとは、借主(入居する高齢者側)が家賃を滞納した場合や原状回復費用が発生した際に、「高齢者住宅財団」が家主に保証を行うサービスです。借主が60歳以上であれば60歳以上であれば利用可能な場合が多く、家主にとっても大きな安心材料となります。