最高学府「東京大学」。それを合格率で紐解いてみると… |
高校の進学実績の評価として最も使われる「東大合格者数」は毎年、春先に週刊誌などをにぎわす。それだけ、世間の関心が高いということだろう。
しかし学校により卒業生数が違うのだから、絶対数を比べてもあまり意味がない。そこで東大現役合格者数が学年の定員のどれくらいにあたるか、つま り「東大現役合格率」を2005年春の大学入試結果から出してみた。意外な結果が浮かび上がってきた。
例えば合格者数ナンバー1の開成高校は118人で合格率はほぼ30%。クラスの3人に1人が東大合格というすごさだ。しかしこれを上回る高校が2校ある。灘と筑駒だ。灘は立地の不利を考えても約33%と開成を上回る。昨年は約26%だったから今年はかなり伸びた。これを上回るのが筑駒で44%という高率だ。しかも浪人生の合格者は少ないという特徴がある。
また27人という合格者数でベスト20常連の桐蔭はマンモス校ということもあり、率では約2%となり、定員300人程度の学校ならば合格者数人と同じくらいだ。同様にベスト10上位の筑波も率では4%であり、クラスで1人か2人が合格するということになるだろうか。
05年東大合格率 ●私立○国立 無印公立 |
データを元に5%以上の合格率の高校を表にしてみた。「現役」と「合格率5%」という枠をはめてみると、公立高校は1校を除きリストに上ってこない。やはり5%の壁は大きいようである。
進学実績重視の志望校選択においても、右記のデータは一つの見方に過ぎない。今は東大受験の実力があっても医学部を狙う生徒も多い。また現役でだめでも浪人すれば十分な実力を発揮するタイプの学校もある。このタイプの学校は、受験のための勉強を学校としてやっておらず、人間教育や教養養育に力を入れている。
注意しておくべきことは、高校募集のある学校をどう見るかだ。東大合格者が出るような学校で、高校募集をしているところは大変な人気である。当然入試も難しくこれを突破してきた生徒の学力は相当高く、大学受験でも力を発揮する。これらの生徒のおかげで中学入学の一貫生だけの実力が把握しにくくなってしまうからだ。高校の募集人員を把握しておく必要がある。
インターネット上に公開されているデータでこのような分析が可能なのだから、お子さんにあった学校選択のためのオリジナル分析をしてみてはどうだろうか。例えば、「国公立大学に強い高校は?」「早慶上智に強い高校 は?」「医師薬系学部に強い高校は」などが浮かび上がってくるはずだ。 確率論に終始してはいけないが、確率で見るとその学校の 環境が見えるということは間違いはないのだから、統計的に見ることは 何ら損はしないのである。当然本人の努力次第が受験の鉄則だが…。
記事中の表はホームページ等で発表されているデータを元にしたが、「公表合格者数が最終結果でない」「卒業者数が不明で定員を用いた」ケースもあり必ずしも正確な数値ではないことをご了承願いたい。
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