Q. 予防接種を受けてもインフルエンザにかかります。無意味なのでしょうか?
「ちゃんと受けたのに……」 結局インフルエンザにかかるなら、予防接種は無意味?
Q. 「子どもも私も、毎年インフルエンザの予防接種を受けています。でも一昨年は私と子ども、去年は子どもがインフルエンザにかかってしまいました。夫は、予防接種を受けてもかかってしまうなら、無意味だと言います。ワクチンも安くはないですし、今年はわざわざ受けなくてもいいかなと思っていますが、受けないよりはマシなのでしょうか?」
A. ワクチンで感染予防はできませんが、深刻な合併症リスクが減らせます
よくある誤解なのですが、そもそもインフルエンザワクチンには、感染自体を防ぐ効果はありません。インフルエンザワクチンの効果と目的は、ワクチンによって抗体を獲得することで免疫のはたらきを強めておき、「症状の発症を防ぐこと」あるいは「症状を軽くすること」です。つまり、ウイルスが体内に侵入することは防げませんが、体内でウイルスが増殖するのを抑えることで、症状が重くならないようにする効果があります。感染しても無症状のこともあり、その場合は「不顕性感染」と言います。
ワクチンの有無に関わらず、多くの場合、インフルエンザは発症から1週間ほどで症状が落ち着きます。しかし、症状がひどい場合は、肺炎やインフルエンザ脳症などの、重い合併症を引き起こすことがあります。合併症を引き起こすと、入院による治療が必要になったり、最悪の場合、命を落としたりするケースもあります。
ワクチン接種をしておけば、これらの重症化リスクを減らすことができるのです。インフルエンザワクチンの接種率と、感染した子どもの死亡率が関連することを示す報告もあります。
ワクチン接種は予防であり治療ではないため、健康保険は適用されません。費用は医療機関によって異なりますし、自治体によっては助成制度があるものの、原則としては全額自己負担です。出費の面から、ワクチンを受けるか迷ってしまう方もいるかもしれませんが、もしものときに後悔しないようにワクチンの効果とメリットについて、ぜひ考えてみてください。
さらにくわしく知りたい方は「予防接種を受けてもかかる?インフルエンザワクチンの『効果』とは」をあわせてご覧ください。