■計算間違いをなくす、すごい方法

兵庫県の朝来町立山口小学校は、公立小学校でも基礎学力を身に着ける指導を行っている学校です。ここで言う基礎学力とはいわゆる昔の「読み書きそろばん」に相当するもので、「読み書き計算」です。この指導を始めたら目覚しい結果が得られて評判になりました。NHK「クローズアップ現代」でも取り上げられて放送されたそうです。その方法は家庭でも応用が利きますので、CloseUP!で2回に分けてご紹介します。

様々な実践の蓄積により、多くの子供の共通する算数のつまづきポイントが見いだされました。そしてそのポイントを克服するための方法が考え出されたのです。これは低学年から始められ、本格的受験勉強に取り組む前にやっておく計算力養成に最適な方法なので、ご家庭で実践されることをお勧めします。

★計算力編

【百ます計算プリント】
0から9までの数字が縦横に書かれた用紙の、マトリックスを足し算あるいは引き算の結果で埋めていくものです。配置は規則的だと計算せずに答えを出してしまうので、そのようなことがないように配慮されています。(清風堂書店出版部から計算習熟プリントが1,2年用/3,4年用/5,6年用が出ています)

これを毎日行い時間を記録します。2週間くらいで計算力が急速に向上していくそうです。目安としては
1年生 百ます足し算・引き算が最後まで出来る
2年生 百ます足し算・引き算・掛け算が3分以内で出来る
3年生 百ます足し算・引き算・掛け算が2分以内で出来る
です。

大きな整数の計算、小数・分数の計算も還元すれば一桁の計算になります。これが十分なスピードでこなせることが、まず第一のポイントです。時間をかければできる子供というのは、大きな数の計算や分数になったときに何度も繰り返しやらなくてはならない一桁の計算に、スタミナ切れを起こしてミスしたりします。これは公文式でも同じことを言っていますね。正解が出来るだけではだめで、標準の時間以下でできるまで繰り返します。答えの正確さという質とスピードが両立して真の力が身に付いたと言えます。

【第三類型割り算プリント】
高学年ではさらに、第三類型割り算百問のプリントを取り入れます。繰り下がりのある引き算を伴う余りのある割り算の問題が百題ならんでいるプリントです。分数の計算で躓く子はこのプリントができても時間がかかる子供だそうです。このプリントが3分以下でできるようになれば、分数の計算で躓くことはないそうです。問題の例は
51÷8= … 26÷9= … 21÷6= … 51÷9=
という風に余りを求める際に繰り下がりのある引き算が必要となる問題です。

算数の問題をご一緒に解いてみるとわかりますが、割り算を必要とされる問題は大人がやっても面倒です。これがすいすいこなせれば、算数は怖くなくなり自信が持て、計算以外に余った力を注ぐことができます。私はこのプリントが山口小方式算数教育の最大の目玉だと考えます。割り算には足し算・引き算・掛け算が全て必要で、それらを組み合わせて、繰り返し計算をして答えを出します。小数や分数の計算も同じですね。従って百ます計算で培った力をこの第三類型割り算で仕上げます。こちらの目安は

3年生 50問を10分以内でできる
4年生 50問を5分以内でできる
5年生 100問を5分以内でできる
6年生 100問を3分以内でできる

こうして育てられた計算力ともう一方の柱である漢字と暗唱による読み書きの力を培った子供たちは、その後上級学校に行ってからも学力は衰えることなく、卒業生が大学受験する頃には医学部に進む子供たちが続出しているそうです。こうやって基礎学力をつけて、ゆとりを持ってより深い授業のできる学校が、真の「ゆとり」教育を実現していると言っていいのではないでしょうか。

今の文部科学省がやろうとしている、単なる授業時間と内容削減がゆとり教育ではないという証明のような気がします。日本全国の公立小学校でこの方式を取り入れたら、今の受験の様相は大きく変わるはずです。
兵庫県朝来町立山口小学校
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