楽しすぎた! カンヌ国際映画祭
――『ナミビアの砂漠』は第77回カンヌ国際映画祭の国際映画批評家連盟賞を受賞しました。河合さんの演技も話題になりましたが、カンヌ映画祭の現地に行かれていましたよね。いかがでしたか?河合:初めての海外の映画祭だったのですが、楽しくて帰りたくなかったです(笑)。最初は3泊と言われたのですが、「もっといたいです」とリクエストして、6泊に増やしていただきました。
世界3大映画祭の1つという、自分にとって初めて体験する文化の祭典はやはりすごく興味深かったです。世界の映画業界の方と接して「これから自分が闘っていく舞台はここなんだ」と思ったり……。いろいろなことを感じましたし、本当に行って良かった。また別の海外の映画祭にも出席してみたいです。
作品と自分の人生が循環していく俳優の仕事
――河合さんはドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS)での演技が話題になったり、映画『あんのこと』など次々と作品が公開されたり、今や“時の人”と言ってもいいと思うのですが、周囲の環境が変わったと感じますか?河合:変わりました。『不適切にもほどがある!』を撮影しているときは、すごく楽しんで仕事をしていたんです。まさかこんなに多くの人に見ていただき、話題になるなんて想像もしていませんでした。
でも「時の人」と言われると、ぼんやりしてしまいます。実態がないというか、どこからがブレイクなのか分からないので、今でも不思議な気持ちです。 ――映画もドラマも出演作が次々とありますが、河合さんにとってお芝居の良さ、演じる喜びはどういうところにありますか?
河合:『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』(NHK)の仕事をしたときに思ったことがあるんです。役やシーンを理解するとき、自分が経験してきたことを役作りの材料として使うのですが、そうやって演じた役から新たに教えられることがたくさんあるんです。
そして、それが自分の人生の糧になり、学んだことをまた次の作品に生かしていく。俳優という仕事は作品と自分の人生が循環していくのだと。なんて素晴らしい仕事なのだろうと思いました。
映画はど真ん中の席で見たい!
――All Aboutでは取材した方に、最近見た映画、好きな映画館、映画の思い出などを聞いているのですが、河合さんは映画館に行かれることはよくありますか?河合:はい、よく映画を見に行きます。見たい映画が上映されている映画館へ行くので、ミニシアターもシネコンも行きますが、どちらかといえばミニシアター系が多いかもしれません。
最近は『クレオの夏休み』(フランス映画)を見ました。良かったです。子どもが主人公の物語なのですが、その子が素晴らしくて。どうやって撮影したのだろうと思うくらいでした。
そういえば『クレオの夏休み』を見に行ったとき、劇場に『ナミビアの砂漠』のチラシがいっぱいあったんです。「私がいっぱいいる!」と思って(笑)、1枚いただいて帰りました。
――映画館の座席のベストポジションはありますか?
河合:私は目があまりよくないので、ミニシアターなら5、6列目の真ん中です。シネコンだともう少し後ろかな。でもいずれも真ん中が好きです。端っこだと、スクリーンが斜めになるし、ゆがんで見えるような気がするので選ばないですね。
見終わった後にエネルギーをもらえる作品です!
――では最後に『ナミビアの砂漠』を楽しみにしているファンの方にメッセージを。河合:この映画の取材を受ける中で、いろんな感想をいただきました。主人公のカナに自分を重ねる人もいるし、他者として見る人もいる。でもどちらで見ても楽しい映画です。
ワクワクしたり、ヒヤヒヤしたり、そして見終わった後にエネルギーをもらえる作品になっていると思います。劇場を出るとき、そういう得体の知れないエネルギーに包まれて、「なんかすごい映画を見たぞ」という気持ちになってくれたらうれしいです。
河合優実(かわい・ゆうみ)さんのプロフィール
2000年12月19日生まれ。東京都出身。2021年『サマーフィルムにのって』『由宇子の天秤』の演技で第64回ブルーリボン賞新人賞などを受賞。近年は『PLAN 75』(2022)『少女は卒業しない』(2023)『あんのこと』劇場アニメ『ルックバック』(いずれも2024)。最新作は『八犬伝』(2024年10月25日公開)、NHK連続テレビ小説『あんぱん』(2025年春放送開始予定)。
『ナミビアの砂漠』2024年9月6日より全国ロードショー
カナ(河合優実)は、日々退屈を持て余し、やり場のない感情を抱えて生きている。ホンダ(寛一郎)と付き合いながらも、ハヤシ(金子大地)と関係を深めていくカナ。しかし、次第にハヤシともかみ合わなくなっていき……。カナは自分の居場所を見つけることができるのだろうか。監督・脚本:山中瑶子
出演:河合優実、金子大地、寛一郎、新谷ゆづみ、中島歩、唐田えりか、渋谷采郁、澁谷麻美、倉田萌衣、伊島空、堀部圭亮、渡辺真起子
撮影・取材・文:斎藤香
ヘアメイク:上川タカエ(mod’shair)
スタイリスト:杉本学子