一流がやるホスピタリティと三流がやるホスピタリティの違いは?
ホスピタリティとは、深い思いやりや心のこもったおもてなし、歓待、歓待の精神などのことをいいます。接客だけに限らず、すべての職場において重要で、社内にホスピタリティが高いメンバーが多いと、互いの協力や連携も円滑に進み、会社へのエンゲージメントも上がります。
AIの進歩などにより生活や働き方が変わってきている中で、人間は精神的な価値を求めるようになっており、ホスピタリティの高い人材の価値は今後ますます高まっていくことでしょう。
今回は、“一流”のホスピタリティができる人になるためのポイントを解説していきます。
ホスピタリティの第一歩は「ホスピタリティマインド」を持つこと
一流のホスピタリティを提供するためには、まずはホスピタリティマインドが備わっていることが大切です。ホスピタリティマインドとは、見返りを求めずに相手を深く思いやり、感動や喜ぶことを提供するための心構えのことです。とはいえ、ホスピタリティマインドがあれば一流なのかといえば、必ずしもそうではありません。
たとえ、相手に対する深い思いやりやおもてなしの心が十分にあり、ホスピタリティマインドが備わっていたとしても、それを具体的な形として表すことができなければ、相手にその心は伝わらず互いの信頼関係が築けません。
一流のホスピタリティを提供するためには、ホスピタリティマインドを備えた上で、さらにそれを体現する力があることが大切です。
では、ホスピタリティマインドを体現するために、どのようなことが必要なのか次に見ていきましょう。
(1)心を形として表すマナー力
ホスピタリティマインドを体現する合理的な方法としてマナーがあります。マナーと聞くと「堅苦しい」「難しそう」というイメージが少なからずあるかもしれませんが、マナーの原点は相手に対する敬意や心遣いです。相手に対する敬いの心や思いやる心、感謝する気持ちなどを目に見える形として表すものなので、決して堅苦しいものでも難しいものでもなく、むしろ相手に礼を尽くしていることを伝える理にかなった方法なのです。
相手を思う心がいくらあっても、体現することができないのでは伝えることができません。マナー力は信頼関係を築くために欠かせないものです。一流のホスピタリティを提供するためには、まず相手に信頼され、良い関係を築き、その関係を継続していくことが大切なのです。
(2)本質を感じ取るための傾聴力
「傾聴力」という言葉を耳にしたことがあると思います。傾聴力とは、BGMや話声など自然に入ってくる音を聞くのとは違い、「この人が分かってほしいことは何か」「この人は何を伝えようとしているのか」と、相手に向き合って話を聞く力のことです。話をしっかり聞くことは、相手の心の奥にある本質を感じ取ることにつながります。また、相手への関心を示す行為でもあり、「あなたのことを理解しようとしている」という、相手を思う心を表すことでもあります。理解する姿勢を示すことで、信頼関係が形成され、良い関係を築いていけるきっかけになるのです。
(3)相手との心を近づけるトーク力
コミュニケーションには情報の伝達という役割だけでなく、相手と良い関係を築いたり、その関係を継続させたりという役割があります。会話の相手との心のつながりは、客観的な情報を伝えるだけでは生まれません。もちろん、必要な情報を正確に伝えることは重要ですが、会話では必要に応じて経験したことやそのときの気持ちなどを上手く交えて話すことで、相手との心の距離が近づきます。
気持ちのやり取りができると信頼関係が生まれます。そうすると、相手から多くの話を聞ける機会が増えて、感動や喜びを提供できるヒントが見つかる可能性が高まるでしょう。
(4)良い環境づくりのための働きかけ
「あなたの存在を認めている」という働きかけのことをストロークといいます。人をほめたり励ましたりする、肯定的なストロークを送ると相手の心は満たされます。ストロークは、交流分析を開発した精神科医のエリック・バーンが提唱し、現在ではさまざまな分野で良い人間関係の環境づくりに活用されています。一流のホスピタリティは、肯定的なストロークを送り良い人間関係を築きます。そのため、互いの協力や連携が円滑に進み、さらには会社のエンゲージメントも高まります。
三流は一方通行、一流は双方向
ホスピタリティは、提供する側と受け取る側との間で、ともに感動や喜びを共有することが大切で、一方通行では成り立ちません。三流のホスピタリティは、ホスピタリティを提供しているつもりでも、それが相手に伝わっていなかったり、自分の勝手な思い込みや押し付けだったりなど、一方通行的な対応しかできていません。
一方で一流のホスピタリティは、どんな状況でも常に相手の立場に立って、ともに喜びや感動を分ち合える双方向的な対応ができます。相手の心の奥にある本質を感じ取ることができ、1人1人に唯一の対応ができるのです。
時間があれば、高いホスピタリティを提供している場所に行き、そこのスタッフの行動に着目してみるのもいいでしょう。自分が一流のホスピタリティを提供される側になると、提供するときのヒントになります。また、多くの人と接する機会を増やし、人それぞれの価値観に触れることは、1人1人の思いを感じ取ることへの手がかりになるでしょう。