「最終面接で不採用」……でも落胆しすぎる必要はない
就活ではこのような不採用通知のことを「お祈りメール」と呼ぶ。お祈りメールは筆記試験であっても1次面接でも、不採用の場合は同じように来るが、とりわけ最終面接を受けた上でのお祈りメールは当然ショックが大きい。ましてや第1志望の企業の最終面接に落ちてしまうと、もう就活を続ける気持ちすらなくなってしまうだろう。
しかし1次面接の不合格と最終面接での不合格は、同じ不採用という結果だが意味合いと価値は全く異なる。
現に最近では、最終面接で不採用となった就活生を集めたスカウト型のプラットフォーム「ABABA」というサービスも誕生している。学生が最終面接まで進んだ選考状況や不採用通知を登録することで企業側からスカウトされる仕組みだ。
企業側としては最終面接まで残った就活生のみをスカウトすることで、選考時間を短縮し、効率的に優秀な人材を獲得できるため、活用している企業も増えている。
「最終面接不合格」という結果を悔しがるだけではもったいない。むしろその経験と結果を糧にして、その後の就活の武器にしていくべきなのだ。
「最終面接までたどり着ける学生」とはどんな学生なのか?
1次面接から最終面接までで、それぞれの選考の目的や判断基準は異なる。まず1次面接では、企業は多くの母集団の中から採用対象となる学生をざっくりと絞り込む必要がある。企業によっても異なるが、多くの企業は基本的なコミュニケーション力があるか、より深く聞いてみたいと思える学生時代に力を入れた経験(ガクチカ)があるかなどで合格かを判断する。面接しなければいけない人数も多いので、短い時間でのオンライン面談や3人以上の集団面接などの手法で「浅く広く」学生を選考していく。
そういう意味では、1次面接に合格した学生は「最低限のコミュニケーションが取れ、大学時代の経験を含めて採用担当者から興味を持ってもらえた学生」ということだ。
逆に言えば、1次面接では対象の人数も多く面接時間も短いため、しっかりとした選考は企業側もできない。そのため、2次面接では個別に時間をかけて学生時代の経験から、志望理由まで詳しく聞いていく。ここで初めてその学生が、仕事に求められる基礎的な能力をもっているのか、自社が採用したい人材なのかを見極めていく。たとえ1次面接で興味深い経験や結果を話した学生でも、より深く内容について聞かれ、本人の意志や能力が反映されていないと判断されれば不合格となる。それらを満たした学生が2次面接に合格し、最終面接に進む。
上記のプロセスや判断基準が全ての企業に当てはまるわけではないが、最終面接までたどり着く学生は総じて、
・最低限のコミュニケーション力がある学生
・大学時代の経験を通じてしっかりと社会人基礎力を身につけた学生
・採用担当者や現場の管理職が採用したいと思える学生
であるといえる。採用活動の中でゼロから上記の学生を探すというのは大変なことなので、どこか1社でも最終面接にたどり着けたということは企業にとっても十分評価に値することなのだ。
たとえ最終面接が不合格であってもそこまで気にする必要はない
最終面接は経営者である社長や役員、大企業では人事部長や事業部長が行う。最終判断の場なので、もちろん採用決裁者からの目線で選考はされるが、本当に自社に入社したいかの意志確認の場として実施する企業も多い。現在就活は売り手市場であり、多くの企業は内定辞退に悩まされているので、能力よりも志望度の高い学生に内定を出そうとする傾向もある。そのため志望度がそこまで高くない企業の場合は、どんなに人事から評価されていても最終面接で役員から不合格が出ることはよくあるケースだ。ただ、当然志望度が高ければ合格するというものではなく、どんなに入社意欲をアピールしても、能力や入社意欲が高くても、10人の採用枠に対して最終面接を受ける学生が20人いれば落ちてしまうこともある。またどんなに人事や採用担当者から評価されていたとしても、最終面接を担当する役員クラスの面接官とたまたま相性が合わず、評価されずに終わることもある。
こればかりは運を味方にするしかない。ただ大切なことは、最終面接にたどり着いた時点で十分にその能力と人柄は会社からは評価されているということだ。もちろん第1志望の企業の最終面接で合格できれば、それに越したことはない。ただ就職活動はそんなに甘くない。もし最終面接で不合格になったとしても、その結果を真摯に受け止め、次に生かしていく姿勢が重要だ。
最終面接不合格結果の生かし方:結果のふり返りと教訓の発信
最終面接で不合格の結果を得た場合は、その後の就活にどのように生かせば良いのか?ABABAのような最終面接まで進んだ学生向けのサービスを活用して、その結果を評価してくれる企業と接点を取ってみるのは1つの生かし方だ。選考プロセスの一部も免除してもらえることが多く「ある企業の最終面接までたどり着いた」という、就職活動での経験を1つの評価対象としてもらえるのはありがたい。
しかしそういったサービスを利用する、しないに関わらずぜひ行ってほしいことがある。それは「最終面接不合格」という経験のふり返りとそこから自身のキャリアや就活における教訓を得ることだ。
最終面接不合格という結果に対しては落ち込む必要はないが、何かが足りなかったか、ズレていた可能性があると認識してほしい。それが入社動機だったのか、求められる能力だったのか、会社や仕事への理解だったのか。明確な答えは得られないかもしれないが、自分なりの教訓は得た上で、それをぜひ就活の面接でも発信してほしい。
例えば、
「私はある企業の最終面接までいくことができましたが、残念ながら不合格となってしまいました。ふり返ると自分のやりたいことばかりアピールしていて、企業側がこれからやっていきたいこと、入社する社員に期待することは全く考えていませんでした。これからは自分のやりたいことに合わせて、企業が新卒社員に中長期的に期待することも含めて考えていきたいと学びました」
のような教訓を伝えるだけで、十分自己PRになるだろう。そしてこうした自身のキャリアや就活へのふり返りは内定を何社も得た学生よりも、最終面接で悔しい思いをした学生だからこそ得られる武器だともいえるし、そういった経験をしている学生の方が採用する企業も安心感がある。
最終面接不合格という結果も、次なるより良い結果のためにぜひ生かしてほしい。