年金支給日に何をする?
※アンケートの詳しい概要については、前回の記事『アンケートに見る!年金生活者のリアル「年金、足りてますか?」』をご覧ください。
【アンケートの概要】
オールアバウトが2024年1月に年金世帯を対象に実施。21件の回答を得ました。
■回答世帯数と家族構成
・参加世帯数:21世帯
・家族構成:単身3世帯/夫婦14世帯/3人以上4世帯
年金支給日に、年金生活者の皆さんはどう過ごされてる?
年金生活をしている皆さんにとって、配偶者の誕生日や結婚記念日より重要な日があるとすれば、それは「年金支給日」かもしれません。公的年金は、偶数月の15日(土日祝日の場合はその直前の平日)に、支払月の前月と前々月の2カ月分がまとめて、受給者が指定した金融機関に振り込まれます。今日はやけにATMが混んでるなあと思うと、年金支給日だったケースが多々あります。
では、この大事な日に年金生活者の皆さんはどう過ごされているのでしょうか。 最初に、2番目に多かった行動から紹介します。「とくに何もしない」が全体の38.1%を占めます。確かに、年金は自身の口座に確実に振り込まれていますし、仮に現金をおろすにしても、わざわざATMに長い行列のできる当日でなくても、とは思います。
ところが、もっとも多かった行動は「金融機関に行って必要な資金をおろす」。全体の半数以上、52.4%の人が、入金されたその日に金融機関に出向き、お金をおろすと回答しています。
その理由は何でしょうか。実際にすぐに現金が必要な人もあれば、単に習慣化している人もいるでしょう。
また、前回の記事で、アンケートをとった21世帯中14世帯が「年金だけでは生活費が足りない」ということに触れました。生活費の平均不足額は月2万5000円ほど。
しかも、年金の支給は2カ月に一度ですから、家計上、年金支給日前には赤字額がその倍に膨らんでいることになります。世帯によっては、貯蓄(老後資金)の「目減り感」は小さくなく、一刻も早く現金を手にしたいという思いにかられても、不思議ではありません。
年金支給日は特別だけど特別じゃない!?
年金支給日は、年金をおろすだけでなく、その日に使うという人も当然、一定数います。具体的には、年金支給日の行動として、「外食をする」が同率3位に、「買物をする」が5位に、それぞれランクインしています。また、少数派でしたが「趣味・レジャーに使う」も7位となりました。「朝起きて、年金支給日は混み合うので、早めにお金をおろしに行き、少し贅沢なご販を夫婦で食べて、服を買いにユニクロなどに行きます」(72歳・男性・夫婦世帯)
「まず銀行に行く。次にお金を引き出し、次に競艇に行く。その後、ラーメンを食べに行く」(60歳・男性・単身世帯)
年金支給日が2カ月に一度の特別な、かつ幸福な日であることが、じんわりと伝わります。また、外食が人気であることがうかがえる、こんなコメントも。
「年金支給日は近所のレストランが混むので、その日は行かない」(70歳・男性・夫婦世帯)
また、年金=生活費をその日のうちに振り分ける(または支払う)作業を行う、管理タイプの人も当然います。
「振り込まれた年金を妻が管理する口座に振り込む」(60歳・男性・3人世帯)
「年金支給日に生活の固定費、変動費に分け、支払いが必要なものは支払う」(40歳・男性・夫婦世帯)
年金生活を無理なく送るためには、年金支給日をどう過ごす?
意外だったのは、「年金が振り込まれていることを確認する」という人が4分の1近くいたということ。当日は確認のみという人もいますし、引き落とすのが主たる目的でも、その手前で振込の確認作業も行うということは、どこかで「確認=安心」を求めるのでしょうか。だとすれは、年金支給日は安心する日でもあるわけです。ただし、矛盾するようですが、年金支給日は特別な日ではあるものの、すごく特別ではないことも、一方でうかがえます。「支給日の前後で生活スタイルや意識変化はありますか?」という質問に対して、全体の81%か「とくに変化はない」と回答しているからです。
年金支給日は何かと行動はするものの、その前後で大きく生活スタイルや意識が変わることはなく、基本的には一定の生活スタイルを堅実に保っている。言い換えれば、年金支給日をすごく特別な日にしない。それが年金生活を無理なく送る秘訣、なのかもしれません。
●さて、次回は最終回。年金生活者にとっての年金とはどんな存在なのか、そんな、日本の年金制度の本質に迫ってみたいと思います。