中条あやみさんにインタビュー
――映画『あまろっく』、とても楽しく温かい作品でした。中条さんはとてもナチュラルに早希を演じていて「もしかして中条さんの素に近い役なのでは?」と思いました。中条あやみさん(以下、中条):たぶん、今まで演じた役の中で、いちばん素に近いと思います。関西弁で話す役は以前にもやっているのですが、『あまろっく』は家族の物語。私は家族といるとき、ずっと関西弁なので、本当に家族と過ごしているときのままだったと思います。
実際、撮影中は関西にある実家から仕事現場へ通い、台本の読み合わせを母にやってもらっていました。なので、「本当の中条あやみはどんな人ですか?」と聞かれたら『あまろっく』を見てくださいと言えるくらい自分に近い役ですね(笑)。 ――中条さんのキャラクター的に早希に共感するところがあったのでしょうか?
中条:すごくありました。早希は20歳で、鶴瓶さん演じる竜太郎さんと結婚して、39歳の優子ちゃん(江口のりこ)のお母さんになりますが、早希は自分よりずっと年上の優子ちゃんにお見合い話を持ってくるほど世話焼きなんです。
私も早希みたいに結構世話好きなところがあるんですよ。例えば、家族の話し合いを仕切ったり、家族旅行のときは進んで計画を立てたり……。家族のまとめ役を買って出ることもあるので、「似ている」と思いました。
親子くらい年の離れた夫婦の信頼
――早希は明るくおせっかいな一面もあるけれど、実は誰よりも家族団らんに憧れているという背景もありましたね。中条:早希は孤独だった過去があるので家族に強い憧れがあり、一家団らんすることが夢だったんです。家族になりたいまっすぐな気持ちにはとても共感しました。 ――最初は20歳の女性がなぜ父親くらいの年齢の竜太郎に惹かれたのかと思いましたが、“過去”が関係しているんですね。
中条:早希は、両親の愛情をいっぱい受けて育ったと思うんです。ただ、両親を亡くしてからは、ひとりで「頑張らなくちゃ、しっかりしなくちゃ」と自分にプレッシャーをかけて生きてきたので、早く大人にならなくてはいけなかったんです。
そんなとき、とても愛情深くて頼れる竜太郎さんに出会って、プレッシャーがほどけていったんだと思います。
我が家は両親が共働きだったので、私は鍵っ子でした。なので学校から帰宅したときに家に誰もいないという寂しさは経験したことがあります。そんな思いをヒントにしながら、早希のパーソナリティーと向き合っていきました。
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