お客さんの心に届けるために演じている
――先ほど、「現状に満足していたら役者の仕事はしていないかもしれない」とおっしゃっていましたが、一度お休みをされてから、復帰後は精力的にお仕事をされている。役者の仕事を続ける意味、醍醐味はどこにありますか?大沢:この仕事はとても自由な仕事だと思います。お金を稼ぐため、モテるため、家族のため、別人になるため……。人によって、それぞれ役者になる理由が違いますしね。
単純に僕は、作品を通して、見てくださった方がワクワクしたり、感動したりしてくれることがうれしい。「〇〇という作品で勇気をもらいました」「毎週、続きが楽しみで仕方がありません」とか、そういう言葉がうれしくて仕方がないんです。
見てくださる方たちは直接の知り合いではないけれど、だからこそ、そういう方たちの心にも届けることができるというのが役者の仕事の素晴らしさだと思います。
ただ人気商売なので、いつまで続けていられるか分からないですよ。出演依頼がなくなったら終わりですから……。 ――出演依頼がなくなるなんて、そんなことありえないですよ。
大沢:あと僕自身もこの仕事に求めるハードルが上がっているので。もともと挑戦することが好きなので、エッジの効いた仕事に惹かれる傾向があるんです。やはり仕事にスリルを求め始めると、どんどん刺激的な方に走っていってしまう。
ジェットコースターが好きな人は、どんどん過激なジェットコースターを求めるじゃないですか。そのうちスカイダイビングで空を飛んだり、もっと刺激を求めて、羽根をつけて空を飛ぼうとする人がいたり(笑)。
そこに整合性も合理性もなく、ただ刺激を求めていくという……。僕もその傾向があるので、エッジの効いた作品を求めて、そのうち羽根をつけて空を飛ぶレベルに行くかもしれません(笑)。 ――そういう意味では、『沈黙の艦隊』もかなり刺激的な作品だと思います。
大沢:そうですね。この作品のチームもチャレンジャーですよ。最初から画期的な企画でしたから。昨年、劇場公開できたときは「本当にやったんだ!」と挑戦を全うできた気持ちでうれしかったです。ぜひドラマシリーズも全8話、楽しんでいただきたいです。
大沢たかお(おおさわ・たかお)さんのプロフィール
東京都出身。映画、ドラマなど多方面で活躍。2005年、映画『解夏』で第28回日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞。2007年『地下鉄(メトロ)に乗って』で第30回日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞。2009年、主演ドラマ『JIN-仁-』(TBS)が大ヒット。2010年に橋田賞を受賞。映画『キングダム』シリーズ(2019~2024)で人気キャラクターの王騎を熱演。最新作は『キングダム 大将軍の帰還』(2024年7月12日公開予定)。Amazon Original ドラマ『沈黙の艦隊 シーズン1 ~東京湾大海戦~』2024年2月9日から、Prime Videoで全世界配信開始
前半の1~4話で描かれるのは、劇場版のストーリーに未公開シーンを加えた“序章”。海江田四郎(大沢たかお)は日米が極秘開発していた原子力潜水艦シーバットの艦長。ある日、海江田は核ミサイルを搭載したまま、シーバットと共に行方をくらましてしまう。しかし、彼の目的は“平和”だった。5~8話は、反乱を起こしたシーバットの海江田を阻止すべく日米の政府が動き出し、東京湾を舞台にした潜水艦アクションが繰り広げられる。
監督:吉野耕平(1話、2話、7話、8話)、中村哲平(3話、4話)、蔵方政俊(5話)、岸塚祐季(6話)
出演:大沢たかお、玉木宏、上戸彩、ユースケ・サンタマリア、中村倫也、中村蒼、松岡広大、前原滉、水川あさみ、笹野高史、夏川結衣、江口洋介
配信スケジュール: 2月9日(金)1~6話、16日(金)7~8話(全8話)
取材・文:斎藤香
撮影:高橋明宏(※高ははしごだか)
スタイリスト:黒田領
ヘアメイク:松本あきお(beautiful ambition)
衣装クレジット:ニット/ルフォン(シアン PR)、その他スタイリスト私物