高良健吾さんが演じるのは、殺された少年の友人の1人で、地元で建設会社を経営しながら裏では地元の不良たちを率いている春。よくある強面な雰囲気とは違うスタンスで生きる男を緩急つけた芝居で見せています。
高良健吾さんにインタビュー
――高良さんは映画『罪と悪』の齊藤勇起監督に、この映画がまだ企画の段階からお話を聞いていたそうですが、映画化が決定したときの気持ちを教えてください。高良健吾さん(以下、高良):『罪と悪』の脚本が完成する数年前から、いろんなお話を聞いていました。企画から映画化を実現するのは本当に大変なことなので、撮影することが決まったときは本当にうれしかったです。
脚本を読んだときは、“考えること”が多くなりそうな内容で難しい役だと感じました。
――考えることが多くなるというのは?
高良:春というキャラクターに説得力を持たせるためには、セリフ1つひとつの演じ方が重要。説明セリフも少ないので、下手するとよく分からないままになってしまうと思いました。脚本には描かれていない春の心の中を僕が理解していく作業がとても大変だと感じましたね。
だから齊藤監督はもちろん、春の幼なじみ役の大東駿介さん(晃役)、石田卓也さん(朔役)と、疑問に思うこと、自分の思いをたくさん話し合って役に血を通わせていきました。
――大東さん、石田さんは同世代ですよね。
高良:そうですね、かつて同じオーディションを受けたこともありますし、切磋琢磨してきた役者仲間です。いつもつるんでいるようなベタベタした関係ではなくて、リラックスして仕事に集中できました。撮影が終わってからの方がよく会っています。 ――春、晃、朔が、離れ離れになってからの長い空白の時間について、何があったのかと3人で話すことはありましたか?
高良:それを話さないのが3人のいいところ(笑)。もちろん共有すべきところは話し合うけど、それぞれの事情は演じる本人が理解していればいいと思います。
空白の時間が彼らにとって何だったのかは、2人がお芝居で表現してくれるので、それを受けながら自分はこう表現しようと芝居を作っていきました。そういうコミュニケーションができる共演者だったので良かったです。
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