家族をめちゃくちゃにして消えた姉
「30年ぶりに、行方不明だった姉が姿を現したんです」困惑したようにそういうのはミユキさん(46歳)だ。3歳違いの姉は、幼いころからミユキさんの憧れの存在だった。勉強もスポーツもできて人気者だった姉と比べられることもあったが、「姉は私の誇りだった」と思っていたから妬んだことはない。
「その姉が19歳の大学生のときに妻子ある男性と付き合って妊娠した。親は大激怒しましたが、姉はそのまま家を出てしまった。家にあった母のアクセサリーとか祖父の形見の時計とかみんな持ち出して。あとから見たら現金もなくなっていたそうです。親戚からも相当な借金をしていた。その後、捜索願を出しても行方はわかりませんでした」
消えた姉の“相手”は母の弟だった……
姉があんなことになったのは、おまえの教育が悪いからだと父は母に当たるようになった。母はショックのあまり寝込んでしまい、家庭はぐちゃぐちゃになった。「私の大学受験など誰も考えてはくれなかった。当時、私には知らされていなかったんですが、姉の相手は母の弟だったんです。それっきり私の大好きな叔父さんが来なくなったので不思議には思っていました」
大人になってから事情を知った。そして叔父は数年後、叔母のもとへ戻ってくるなり急逝したという。
「私が四苦八苦して受験に合格したころ、うちの両親は離婚しました。そのとき母がいろいろな事情を話してくれたんです。母は自分の弟のしでかしたことがショックだったと。死んで詫びろと父に言われたそうです。実際、自殺未遂を図ろうとしたこともあったと。
私はそのころの記憶が曖昧なんです。たぶん、私の手には負えないような事態になっていることは薄々わかっていて、脳が防御したのかもしれません。断片的に父が怒鳴っているところや母の泣き叫ぶ声、叔父の葬式のワンシーンなどは覚えているんだけど……」
叔父の家庭も悲惨なことになった。ミユキさんのいとこたちは高校を中退したり、よくない仲間とつるんで補導されたりした。ふたつの家庭が潰れてしまったのだ。その元凶は姉だった。
「姉を恨みましたね。叔父は姉に誘惑されてそういうことになり、出奔して2年ほどで離れたと話したそうです。子どもは死産だったとも。母は自分の弟の言い分が本当かどうかはわからないと塞ぎ込んでいました」
ミユキさんは両親の離婚後、母とふたりで暮らしていたが、母の鬱々とした雰囲気が怖くてあまり家に帰らなくなった。
>目的は? SNS経由で姉からメッセージ