住宅ローンの変動金利がついに上がる?対策はあるの?
変動金利がいざ上がった時の対策として、変動金利から固定金利への借り換えや、繰り上げ返済、住宅自体の売却などが考えられますが、それぞれの選択肢の利点や注意点も踏まえ、適切な対策を検討しましょう。
対策が不要の場合もある?
残りの返済期間が短く、借入残高も少ないという場合であれば、変動金利の超低金利の恩恵をこれまで十分受けられたこともあり、特別の対策をする必要もなく、そのままの状態にしておくという選択肢もあります。例えば、残りの返済期間が1年、借入残高が100万円で金利が0.8%から1%に上昇した場合であれば、5年ルールが適用されて毎月の返済額も変わらず、返済期間終了後に未払いになっている利息を千円ほど負担するだけで済みます。
対策(1)借り換えと切替
もっとも、残りの返済期間が長く、借入残高も多いという場合であれば、以下の対策が必要となってきます。・借り換えの注意点
今後の金利上昇リスクから解放されるための代表的な対策として、変動金利から固定金利への借り換えが考えられます。
もっとも、借り換えには諸費用が必要です。具体的には、借り入れの期間や融資額に応じて必要となる保証料や、抵当権の設定や抹消に必要となる登記費用などがかかり、数十万円にも上ります。
また、団体信用生命保険(団信)の審査を含む融資審査が改めて行われます。その結果、当初の借り入れから借り換えまでの間に、病気になってしまった方や転職などにより勤続年数が短くなった方は、団信に加入できなかったり、融資自体を受けられなくなったりする可能性があることには注意が必要です。
仮に借り換えができたとしても、固定金利の金利のほうが変動金利の金利よりも高い状況では、月々の返済額や総返済額が増えることも理解し、納得しなければならないでしょう。
・切替の注意点
借り換えと似ているが異なるものとして「切替」があります。借り換えは当初の融資を受けた金融機関から別の金融機関への手続きを指す一方で、切替は同じ金融機関のまま単に金利タイプを変更する手続きを指します。
切替であれば、借り換えに比べて手数料が低いのが一般的で、通常は数万円程度で済むことが多いです。インターネットバンキングで手続きを済ませられれば、手数料が無料になる金融機関もあります。
ただし、切替後の金利タイプは、最長でも10年固定などの期間選択型の固定金利となることが一般的です。この期間が終了すると、再び変動金利に戻るため、その時点で再び金利上昇リスクにさらされる可能性があります。特に残りの返済期間が長い方にとっては、ネックとなるでしょう。
また、借り換えの場合と同様に、固定金利の金利のほうが変動金利の金利よりも高い状況では、月々の返済額や総返済額が増えることも理解し、納得しなければなりません。
対策(2)繰り上げ返済
金利が上昇しても、固定金利よりも低金利の変動金利をそのまま継続する場合には、返済当初から貯蓄していた方であれば、繰り上げ返済することがおすすめです。借入残高が少ないほど当然、金利上昇リスクが低くなるためです。もっとも、一般的には住宅ローン減税が適用されている期間は繰り上げ返済しないほうが得になります。繰り上げ返済することによって抑えられる利息額と、繰り上げ返済を行った場合と行わない場合の住宅ローン減税の差額を比較して判断することが重要です。
対策(3)住宅ローン自体から解放される
住宅ローン自体から解放されるという意味では、住宅自体を売却することも考えられます。もっとも、ライフプラン上、売っても構わないタイミングであればということが前提条件にはなります。また、借入残高よりも高く売れるのかという問題もあります。仮に借入残高よりも高く売れなければ、住宅ローンを完済するための持ち出しのお金も必要となります。
さらに、売却後に賃貸物件に移る場合、これまでの住宅ローンの月々の返済額と同じくらいの賃料では、満足のできる広さがない、水回りの設備のグレードが納得できない、などの問題もあります。
まとめ
住宅ローンの変動金利がいざ上がった時の対策として、変動金利から固定金利への借り換えや繰り上げ返済、住宅自体の売却などの対策が考えられますが、それぞれメリット・デメリットがあることがお分かりになったかと思います。それぞれの対策の注意点を踏まえながら、あなたのライフプランや住宅ローンの返済状況に合わせた最適な返済プラン確立の一助となれば幸いです。