3位:宝塚歌劇団、いじめ転落死問題と阪急電鉄の対応
9月30日に宝塚歌劇団の団員が転落死していたことが分かり、その原因が劇団内でのいじめ・パワハラだったとの遺族代理人の会見および週刊誌報道から、劇団の組織風土問題として大きくクローズアップされました。これを受け会見した宝塚歌劇団幹部は、弁護士による独自調査の結果、いじめ・パワハラに類することは見当たらなかったと全面的に否定。しかしこの調査を担当した弁護士が同団の顧問弁護士であったことから、身内による忖度調査であるとの批判を受けるに至っています。そもそも、実質的に身内の調査をもって対外的に疑惑を否定するというのはナンセンスであり、遺族と向き合う姿勢がみじんも感じられません。この会見で垣間見た強引さは、かえって宝塚歌劇団の閉鎖性や独自の文化・風土を感じさせる結果となり、“失敗広報対応”の典型だったと言えます。
さらに、宝塚歌劇団は阪急阪神ホールディングス傘下で阪急電鉄グループの一事業部であり、大きく社会問題化している状況下で事業部レベルでの対応に終始しているというのは、上場企業グループとしてのリスク管理体制自体に重大な問題があるのではないかと考えます。
2位:旧ジャニーズ事務所、故創業者による性加害問題への対応
人気の男性アイドル事務所のカリスマ創業者によるスキャンダルとして、テレビ、雑誌等で大きく取り上げられ、今年注目度では一番の不祥事対応であったと思います。2度にわたる記者会見は、会見出席者の質問NGリストの存在が指摘されるなど、その運営のまずさからむしろ事務所の印象を悪くしたという点で、全くほめられたものではありませんでした。対応における最大の問題点は、性加害問題の張本人である故ジャニー喜多川氏の側近として長年勤めすべての事実を知っているであろう元副社長を、会見実施前に退任させ、それを理由に会見の場に一切登場させないという「逃げ」の手を打ってしまったことです。全容解明のキーマンを、あからさまに隠すような姿勢が見てとれることは、謝罪や反省に対する本気度が疑われること以外の何ものでもなく、会見での言葉が空虚に響いてしまいます。
新事務所体制において外部からトップを迎え入れたことで、一歩前進との評価もありますが、果たして事務所が再び輝きを取り戻すことができるか否か。それは元ジャニーズのタレントだった幹部たちが、どこまで本気で生まれ変わろうとして行動できるかにかかっていると言えます。
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