退職した後は、会社を退職した後も再雇用で働く人、しばらくゆっくりするために働かないことを選ぶ人いろいろです。それぞれ支払い方法が違うため、住民税が高いと感じる場合があります。
今回は、住民税の決まり方、2つの徴収方法、3つの支払いパターンを解説し、住民税が高いと感じる理由を解説します。
住民税の決まり方と納付方法を確認
まずは、退職後の住民税の決まり方と住民税の2つの納付方法を確認しておきましょう。●住民税の決まり方
住民税はそれぞれ個人が、その年の1月1日現在で居住している住所地の自治体に対して納める税金です。
住民税は「所得割」とだれもが等しく負担する「均等割」の2つで構成されており、前年の所得をもとに計算されます。所得割は、前年の所得に10%を掛けて計算します。均等割りは、住民の誰もが一律に負担します。つまり、住民税は、前年に一定以上の所得がある場合、その後収入がなくなったとしても納める必要があるのです。
●普通徴収
普通徴収は、自治体から納税義務者に納税通知書が送られてきます。納税義務者は、納付書を受け取ったら、金融機関やコンビニなどで住民税を納めます。納税は一括または分割(4回)で行います。
●特別徴収
特別徴収は、会社に勤務している際の徴収方法です。会社(納税義務者以外の者)が、納税者(社員)の毎月の給与から住民税を天引きして、納税義務者の代わりに住民税を納めます。毎月、給与からは12分割した住民税が控除されます。
退職した後は、会社を退職した後も再雇用で働く人、しばらくゆっくりするために働かないことを選ぶ人いろいろです。それぞれ支払い方法が違うため、住民税が高いと感じる場合があります。次は支払い方法を確認しましょう。
会社を退職した後、3パターンの住民税の支払い方法とは
退職後の住民税の支払いは、退職する時期や再就職するかで、支払い方法が3パターンあります。●会社を退職した後の住民税の支払い方法1:退職時期が1月1日~5月31日の場合
退職時期が1月1日から5月31日の場合、5月までの住民税は、会社が給与や退職金から天引きして、本人に代わり役所に納めてくれます。退職後、働かない場合は、6月以降の住民税が普通徴収となります。
●会社を退職した後の住民税の支払い方法2:退職時期が6月1日~12月31日の場合
6月1日から12月31日までに退職した場合、退職月の住民税のみ給与から天引きされ、本人に代わり役所に納めてくれます。一方、退職月の翌月以降の住民税は普通徴収になります。役所から納付書が届くので金融機関やコンビニなどで納付します。
退職前に、本人が勤務先に申し出をすれば、退職金または給与から、退職月以降~翌年5月までの住民税を一括徴収してもらうこともできます。退職後、働かない場合は、翌年6月以降の住民税が普通徴収となります。
●会社を退職した後の住民税の支払い方法3:退職後すぐに再就職する場合
退職後すぐに再就職する場合は、転職先で特別徴収してもらうこともできます。
その際、退職する会社に「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を記入してもらい、退職月の翌月10日までに退職者が居住する市区町村宛に提出してもらう必要があります。
ただし、「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」には、新しい勤務先を記載しなければなりません。転職先を知られたくない場合は、いったん普通徴収にしておき、納付書で支払う方がよいでしょう。
●退職した後「住民税が高い!」と感じる理由2つ
これより、退職した後「住民税が高い!」と感じるのは以下の2つが理由といえます。
・住民税は前年度の所得に対して課せられるもので、退職した年の翌年に納税することとなると、無収入の人は高く感じるため。
・今までは12か月にわけて支払っていた住民税を一括、または4分割で支払うと、3~12倍の額になるため。
退職後に発生する住民税を忘れず準備しよう
住民税は前年の所得に対してかかり、会社員のときは、特別徴収されていたため、あまり意識していなかったかもしれません。しかし、会社を退職した後も、住民税の支払いがあります。しばらく働かないことを選ぶ方は、昨年かかった住民税分ぐらいを目安に確保しておくとよいでしょう。参照:東京都・都内区市町村 令和5年4月「個人住民税(区市町村民税・都民税)(特別徴収の事務手引き)」