まずは、介護が必要なのはいつからで、その際、どれくらいかかるのか? 一般的な目安を知っておきましょう。もし、介護が必要になったときのための備えがないのであれば、民間介護保険を検討することも必要です。
公的介護保険サービスを受ける人は、男女ともに「75~79歳」から増加
厚生労働省の「令和4年度 介護給付費等実態統計の概況(令和4年5月審査分~令和5年4月審査分)」によると、65歳以上における男女別・年齢階級別の人口に占める介護保険サービスの受給者の割合をみてみましょう。 【65歳以上男女別・年齢階級別の人口に占める介護保険サービスの受給者の割合】・65~69歳:男性(2.3%)女性(1.8%)
・70~74歳:男性(4.4%)女性(3.9%)
・75~79歳:男性(7.9%)女性(9.1%)
・80~84歳:男性(14.8%)女性(21.0%)
・85~89歳:男性(28.2%)女性(42.3%)
・90~94歳:男性(46.6%)女性(64.4%)
・95歳以上:男性(71.0%)女性(88.0%)
65歳以上の各年齢階級別人口に占める公的介護保険サービスを受給している人の割合(2022・令和4年11月審査分)は、男女ともに「75~79歳」あたりから徐々に増え始め、80歳ごろから大きく増えます。
また、性別ごとでは、「75~79歳」以降のすべての階級において、女性の受給者数が男性の受給者数を上回っています。女性の年齢階級別では、80~84歳では5人に1人、85~89歳・90~94歳では2人に1人、95歳以上は約8~9割が公的介護保険サービスを受けています。
●介護にかかる総費用の目安は581万1300円
公的介護保険サービスを受けることになれば、それにかかる介護費用はどのくらい必要になるのでしょうか。
公益財団法人生命保険文化センターが行った「生命保険に関する全国実態調査」/2021(令和3)年度」によれば、平均的に要した介護費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)は以下のとおりです。
・住宅改造や介護用ベッドの購入などの「一時費用」:74万円
・実際の介護のため月々にかかる費用:8万3000円
・介護期間:約5年1カ月(61.1カ月)
・介護にかかる総費用:74万円+(8万3000円×61.1カ月)=581万1300円
預貯金が少ない方は、民間の介護保険を検討しよう
介護保険サービスを受ける人は、男女ともに「75~79歳」から徐々に増える傾向があります。とはいえ、高齢になってもお元気な方は多く、必ずしも介護状態になるとはいえません。そのため、上記の介護費用が「必要」とは言い切れません。しかし、備えとして、75歳までに1人あたり約600万円の介護費用が準備されていると安心なのではないでしょうか。そうはいっても、中には「介護費用を準備する余裕がない……」という方がいるかもしれません。
そんなときは、民間の介護保険への加入を検討してはどうでしょう。民間の介護保険は、保険会社から販売されている介護保険です。保険会社が定める所定の要介護状態になると、一括もしくは年金で介護保険金(現金)が受け取れます。
もしも、介護状態になってしまったとき、介護費用が準備できていなければ、近親者に金銭的な迷惑をかけてしまうかもしれません。そうならないために、民間の介護保険で経済的な拠り所を持つことも1つの方法です。