定年後に見落とすと厄介な出費1:医療費・介護費
定年を迎える頃はまだ「体は元気!」という方が多く、病気や介護のことがピンとこないかもしれません。まずは、高齢になったときにかかる医療費を厚生労働省の資料 2023(令和3)年度「生涯医療費」で確認してみることにしましょう。
この資料には、日本人の一生にかかる医療費である「生涯医療費」の推計が載っています。それによれば、一生の医療費は2800万円。そのうち、70歳以降にかかる医療費は約1378万円となり全体の約半分を占めていることがわかります。
ただし、実際の医療費自己負担は、公的医療保険に加入しているので、1~3割ほど(個々の所得で負担割合が変わるため)。したがって、70歳以上では138万~414万円が必要といえます。
医療費については、健康保険制度があるから「なんとかなるだろう」などと思っている方もいますが、少なくとも100万~200万円は医療費枠として確保しておいた方がよいでしょう。
さらに高齢になれば、介護費も必要になります。
生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査2021年度(令和3年度)」によれば、介護費用は、住宅改造や介護用ベッドの購入費など一時的な費用の合計は平均74万円、毎月の介護費用は平均8万3000円。介護期間の平均となる61.1カ月(5年1カ月)を合わせて考えると、一人あたり580万円が必要になります。こちらの費用も、介護費用枠として確保しておきましょう。
定年後に見落とすと厄介な出費2:持ち家の方はリフォーム費用
持ち家の方は、住まいのリフォームが必要となるかもしれません。たとえば、高齢になっても住みやすい家に改良するバリアフリーリフォーム、外壁や屋根の補修、キッチンの水回りなど。また電気温水器などの装置も忘れたころに故障が見つかり交換することになる場合があります。これらの費用は、規模にもよりますが、数10万~数100万円と高額になりがちなため、できれば後回しにしたい……と思うかもしれません。しかし、急に生活に欠かせないものが使えなくなると厄介です。そうなる前に、修繕が必要と思われる箇所の見積もりをとり、検討しておきましょう。
定年後に見落とすと厄介な出費3:墓じまい、埋葬費
最近は、おひとりさまが増えたり、子どもが遠方に暮らしていたりという理由で、「お墓をどうするか」を考える人が増えています。先々、お墓の承継が困難ということで、「墓じまい」をして「永代供養墓」を検討する人もいるでしょう。墓じまいには、お墓の撤去にかかる費用、お世話になったお寺へのお布施、その他諸々の費用が必要となり、数10万~数100万円かかります。
永代供養墓についても、納骨しておくスペースが共有の「合同葬」か、個々に墓石を建てたり、樹木を目印にしたりする「個別葬」かで、かかる費用が数10万~数100万円と大きく開きがあります。結構お金がかかると心にとめておかなくてはなりません。複数の情報を集め、検討するようにしましょう。