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逆に電気代が上がる可能性も? 実は節電にならない暖房NG使用法【家電のプロが解説】

寒い冬に大活躍するエアコン。しかし、使い方を間違えると電気代がはね上がることにもなりかねません。エアコン暖房の「NG使用法」と、節電しながらうまく使うコツを紹介しましょう。

安蔵 靖志

執筆者:安蔵 靖志

デジタル・家電ガイド

電気ファンヒーターなど、ほかの暖房家電に比べて省エネなエアコン。寒い冬に活用している人も多いでしょう。
使い方を間違えると電気代がはね上がることも……

使い方を間違えると電気代がはね上がることも……

しかし、そんなエアコンも、使い方を間違えると電気代がはね上がることにもなりかねません。間違っている「NG使用法」と、節電しながらうまく使うコツを紹介しましょう。
 

NG使用法1:設定温度を高めにする

無理のない範囲で、20~22℃に設定するのがおすすめ

無理のない範囲で、20~22℃に設定するのがおすすめ

夏の冷房に比べて冬の暖房は電気代がかさみがち。その理由は「温度差」にあります。

2022年の東京都の平均気温を見ると、1月、2月は10℃前後で、7月、8月は32℃前後にまで達しています。設定温度を冷房、暖房ともに25℃に設定すると、夏は室温が7℃程度下がればよい一方、冬は15℃も室温を上げなければなりません。外気温との温度差が大きいほど、電気代は高くなってしまいます。

環境省の「家庭でできる節電アクション」によると、夏の冷房時の温度設定を1℃高くすると約13%の消費電力の削減になり、冬の暖房時の温度設定を1℃低くすると約10%の削減になるとのこと。とはいえ、暖房の温度設定があまりに低すぎても快適性が損なわれてしまいます。

環境省が2005年から提唱する「WARM BIZ(ウォームビズ)」では、暖房時の室温の目安として「20℃」を推奨しています。20℃は薄着で過ごすには寒いと思いますので、暖かい服装を着つつ、無理のない範囲で20~22℃くらいに設定するといいでしょう。
 

NG使用法2:風向きを上に向ける

暖かい風が直接当たるとのどが渇く、肌が乾燥するからイヤだということで風を上に向けて吹かせる人もいるかもしれません。しかし、基本的にNGです。というのも、暖かい風は上に上がってしまうため、ルーバーを上に向けると暖かい空気が天井付近にとどまってしまい、部屋全体を暖められないからです。

直接温風が当たるのが苦手な人は、左右どちらかに吹き分けてあたらないようにするといいでしょう。もしくは天井に設置して室内の空気を循環させるシーリングファンなどを組み合わせてゆっくりと空気を循環させるのがおすすめです。

また、空気を循環させるサーキュレーターを組み合わせても大丈夫。ただしサーキュレーターの風は直進性が高くて強いので、風が当たるのが苦手という人は風を吹かせる方向に注意してください。
 

NG使用法3:こまめに電源をオン・オフする

こまめなオン・オフが電気代の増加を招く恐れも

こまめなオン・オフが電気代の増加を招く恐れも

部屋にいない間は暖房をこまめにオフにした方が省エネなのではないかと思いがちですが、短時間の外出時にこまめにオン・オフするのは絶対にNGです。

ダイキン工業が2017年に実施した実験「エアコン暖房を『つけっぱなし』にするのと『こまめに入り切り』するのでは、どちらの電気代が安くなるの?」によると、暖房を「30分間隔でこまめにオン・オフする」よりも「つけっぱなしにする」方が深夜(23時~6時)、早朝(6時~18時)、夜間(18時~23時)のどの時間帯でも消費電力量が少ないという結果になりました。つまり、30分程度の外出であれば、外出中にエアコンをオフにするよりもつけっぱなしにした方がお得というわけです。

こまめにオン・オフするのがなぜNGなのかというと、エアコンをオフにした途端に室温が急激に下がってしまうためです。上記の実験では再度オンにする30分後には室温が5~6℃も下がってしまっています。再び設定温度(この実験では24℃)まで室温を上げるためにフルパワーで稼働しなければならなくなるため、その間の電気代が大きくかさんでしまうのです。つけっぱなしの場合は24℃まで上がった室温をキープするだけで済むため、つけっぱなしの方が省エネになります。

もしもこまめにオン・オフをしてしまうと、30分後に帰宅したときには、室温が下がっていて快適性も損なわれてしまいます。さらに電気代も余計にかかるのですから、短時間の外出では電源をオフにしないようにしましょう。
 

暖房使用のコツ1:加湿器を組み合わせて「体感温度」を上げる

電気代が上がるNG行動と併せて、暖房時に徹底したい2つの項目を紹介します。

快適な室内環境を作るために重要なのは「温度」だけではありません。「湿度」もとても重要な要素になります。湿度と体感温度は相関関係にあると言われており、湿度が上がると体感温度が上がるため、同じ室温でも快適性がアップします。

夏の暑さを数量的に表した指標である「不快指数」は、温度と湿度によって以下のグラフのように示されます。

 
不快指数(Discomfort index)の計算方法を使用して筆者が作成

不快指数(Discomfort index)の計算方法を使用して筆者が作成


このグラフによると、室温20℃の場合は湿度50~70%を保てば「快適に感じる」ということになります。

そこで、エアコンと組み合わせて使うことをおすすめしたいのが加湿器です。連続加湿機能しか搭載しないものではなく、できれば自動的に湿度をコントロールする機能を備えた加湿器をおすすめします。

20℃では湿度50~70%が快適だと紹介しましたが、湿度が高すぎると窓などの温度が低い部分に結露が生じやすくなります。そのため、40~60%程度を保つようにするのがおすすめです。風邪の予防やインフルエンザなどの予防も含めて、加湿器をしっかりと活用してください。
 

暖房使用のコツ2:フィルター掃除や室外機周辺の片付けなどを徹底して行う

フィルターや室外機の周りの掃除が節電につながります

フィルターや室外機の周りの掃除が節電につながります

節電の上で重要になるのが「フィルター掃除」と「室外機周辺の片付け」です。ダイキン工業が2022年に行った「フィルター掃除と室外機周辺の片付けによるエアコンの節電効果を検証」によると、フィルターに約3年分のホコリが溜まった10年以上前のエアコンを「フィルター掃除」しなかった場合は、した場合に比べて約5割(48.9%)ものムダな消費電力量がかかってしまうとのことでした。

「フィルター掃除」をしないだけでなく、「室外機周辺の片付け」もしない場合は、どちらもした場合に比べて消費電力量は倍増(約105.1%増)という結果になりました。フィルター掃除が重要だとはよく言われていますが、これだけの結果が出るとは驚きです。この実験は夏の冷房時に行われたものですが、冬の暖房時でも似たような結果が出ると予想されます。シーズン前には必ずフィルター掃除を行い、室外機の前には障害物を置かないようにしましょう。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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