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原則65歳以上になれば「公的年金」がもらえます。しかし「そもそも、もらえる年金額が少ない……」ため、老後の生活に不安を感じている方がいるのではないでしょうか。たとえ、年金が少なかったとしても、働くことで収入を確保することはできます。しかし、もし働けなくなったら、生活が困窮してしまうかもしれません。そんなとき、生活保護の受給を思い浮かびますが、両方を同時にもらうことはできるのでしょうか。今回は、生活保護制度の基本的な内容を確認しながら、どちらも受け取ることが可能かどうか解説します。
生活保護とは
生活保護は、やむを得ない事情で、生活が困窮してしまったとき、最低限の生活を保障しながら、自立を助ける制度です。生活保護は世帯単位で行われ、世帯収入が最低生活費に満たない場合に、以下のような扶助を受けることができます。
【1】生活扶助:日常生活に必要な費用(食費・被服費・光熱水費等)
【2】住宅扶助:アパート等の家賃
【3】教育扶助:義務教育を受けるために必要な学用品費
【4】医療扶助:医療サービスの費用(費用は直接医療機関へ支払)
【5】介護扶助:介護サービスの費用(費用は直接介護事業者へ支払)
【6】出産扶助:出産費用
【7】生業扶助:就労に必要な技能の修得等にかかる費用
【8】葬祭扶助:葬祭費用を定められた範囲内で実費支給
しかし、生活扶助を受ける前提には、世帯員の持っている資産、能力、親族による援助などのあらゆるものを、生活維持のために活用することが必要です。
【資産の活用】
預貯金を活用したり、利用していない不動産などを売却したりしなければなりません。生命保険を掛けていれば払戻しする必要があり、自動車などの資産も仕事に必要なければ売却して生活費に充てます。
【能力の活用】
働くことができる状態であれば、働く必要があります。
【親族による援助】
親族からの仕送りなどの支援が受けられる状況であれば、その援助が優先されます。
これらすべてを踏まえ、世帯員の収入が厚生労働省で定める最低生活費よりも低いと判断された場合に、生活保護を受けることができます。
生活保護と年金は同時にもらえます
では、公的年金の収入があった場合はどうなるのでしょうか。生活保護と年金はどちらも同時に受け取ることは可能です。しかし「最低生活費-収入(公的年金)=差額」が受け取る生活保護費になります。
参考として、生活保護のさまざまな扶助のうちの1つである生活扶助基準額は、実際どのくらいか支給例で確認してみましょう。
【生活扶助基準額の例(令和5年10月1日現在)】
・高齢者単身世帯(68歳):7万7980円(東京都区部等)・6万8450円(地方郡部等)
・高齢者夫婦世帯(68歳、65歳):12万2460円(東京都区部等)・10万8720円(地方郡部等)
なお、生活保護には、生活保護法第8条2項を根拠に、各地域における物価差などの実態に合った同一の生活水準を保障する観点で設けた「級地区分」があります。そのため、東京都区部等、地方郡部等で、生活扶助基準額に差があります。
まとめ
生活保護の申請窓口は、お住まいの地域を所管する福祉事務所の生活保護担当です。気になる方は、まずは相談することをおすすめします。参照:厚生労働省「【参考資料】生活保護制度の概要等について」