とはいえ、もし、高齢のおひとりさまであれば「もし自分が病気で入院することになったら?」「飼い猫よりも自分が先に死んでしまったら?」を考えたとき、対応策として、どんな備えが必要なのか知りたいという方はいるのではないでしょうか。今回は、高齢の飼い主に万一があったときの飼い猫への備えについて紹介します。
猫は思った以上に長生き
もし、60代以上のおひとりさまが猫を飼いはじめるのであれば、猫の寿命について考えておきましょう。というのも、猫の寿命は年々伸びているからです。一般社団法人ペットフード協会が行った「全国犬猫飼育実態調査2022年」によると猫の平均寿命は15.62歳。室内飼いであれば16.02歳という結果になっています。実際は、20歳以上生きる猫も多く(筆者の飼い猫も22歳まで生きました)、思った以上に長生きすると認識しておいた方がよいでしょう。猫を飼っている高齢のおひとりさま「2つのもしも?」に備えよう
猫を飼っている飼っている高齢のおひとりさまにとっての万一の事態とその備えは、以下の2つです。●もし、飼い主が入院をしてしまったときの備えは?
高齢でも健康な方は多いですが、不意の事故でのケガを負う、急に重い病気が発覚するということは、全くないとは言い切れません。
一生でかかる医療費の約半分は70歳以上といわれるくらい、高齢になれば病気、ケガになる可能性が高まります。そんなときのために「家に猫がいます緊急情報カード」をいつも携帯しましょう。
「家に猫がいます緊急情報カード」というのは、たとえば外出中などに急病になったり、事故にあったりしたときに、家にペットがいることを第三者に伝えるためのカードです。このカードは、別に決まった様式があるわけではありません。名刺ぐらいの大きさのメッセージカードなどに、以下の情報を記載して、財布などに入れておきましょう。
【家に猫がいます緊急情報カードに記載する情報例】
・ペットの名前
・性別
・生年月日
・猫種
・マイクロチップ登録番号
・かかりつけの動物病院とその連絡先
・飼い主本人の名前と連絡先
・飼い主が緊急時の非常連絡先(2件)
このような備えをしておけば、飼い主に万一があっても、飼い猫が家にいることを誰かに気がついてもらえるでしょう。
その際、かかりつけの動物病院や緊急時の非常連絡先として指定した方には、事情を説明して、事前に了承を得ておくようにしましょう。
●もし、飼い主が飼い猫よりも先に死んでしまったときの備えは?
先述しましたが、最近では20年近く生きる猫も多くなっています。もしかしたら、飼い主が、飼い猫よりも先に死んでしまうことがあるかもしれません。その際の備えとしては次の2つがあります。
【1】ペット信託
ペット信託では、飼い主にもしもがあったとき、飼い猫を信頼して任せられる人物や団体に飼育費を支払い、ペットが生涯幸せに暮らせるように備えることができます。
ペット信託の費用には、契約書作成費用と飼育費が必要です。
・信託契約書作成料等の初期費用:目安15万円ほど
・飼育費:1年あたりの飼育費×猫の推定余命
「全国犬猫飼育実態調査2022年」によれば、猫の一生涯にかかるコストは約132万円です。平均寿命の約16歳で割れば、1年あたり8万~9万円となります。
【2】老猫ホーム
高齢化した猫の世話を任せられる老猫ホームを見つけておきましょう。飼い主を失くした猫に必要な初期費用と生涯費用を支払うことになります。施設ごとに設定金額が異なります。現状、同じペットでも犬の方が多く、猫の施設の割合は少ないといえます。今後、世の中のニーズによっては、増えるかもしれませんが、現時点では、猫好きな友人・親戚・知人などに、託すことを考えた方がよいかもしれません。