今回は、60歳代の「おひとりさま」の貯蓄がどのくらいあるのかみてみましょう。
60歳代のおひとりさまはどのくらい貯蓄があるの?
60歳代おひとりさまの平均貯蓄額・平均・中央値はいくら?
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(単身世帯)2022年」によると、60歳代のおひとりさまの貯蓄額は以下のとおりです。●60歳代おひとりさまの金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
・金融資産非保有:28.5%
・100万円未満:8.0%
・100万~200万円未満:5.7%
・200万~300万円未満:4.3%
・300万~400万円未満:3.6%
・400万~500万円未満:2.7%
・500万~700万円未満:6.2%
・700万~1000万円未満:4.6%
・1000万~1500万円未満:6.6%
・1500万~2000万円未満:3.6%
・2000万~3000万円未満:6.8%
・3000万円以上:16.9%
・無回答:2.5%
ただし、アンケートで「金融資産非保有」と答えた方の中には、「運用または将来の備えとしての資産」として区切っていない人が含まれています。そのような方々は、生活資金口座にまとまったお金を預けっぱなしにしており、その預貯金の平均は「228万円」です。
上記のデータにおける60歳代おひとりさまの貯蓄額の平均値は1388万円、中央値は300万円です。
平均の貯蓄額が「1388万円」と大きい数値ですが、上記のデータのうち貯蓄額が突出している「2000万~3000万円未満:6.8%」や「3000万円以上:16.9%」が大きく影響していると考えられます。そのため、実態をみるときは、値の小さい順、もしくは大きい順に並べた真ん中にある値である「中央値」の方が参考になります。つまり、60歳代おひとりさまの貯蓄額の目安は、中央値の300万円といえます。
60歳代は「貯蓄が少ない……」場合でも諦めない!
これらの結果をみて「ウチの貯蓄額はだいたい中央値ぐらい」という方もいれば「ウチは少ない……」という方もいるでしょう。今になって「もっと、若いうちから貯蓄しておけばよかった……」と後悔する方がいるかもしれません。実際、蓄えは多い方が安心ですが、使ってしまったお金を悔やんでも増えるわけではありません。それよりも、これからの老後をどのように過ごすのかを考えましょう。その際、堅実な方法としては、働けるうちはしっかり働くのがベターといえます。
最近では、多くの企業において、65歳までの再雇用制度や、66歳以上も働ける制度を取入れる企業が増えています。
厚生労働省の「2021(令和3)年「高年齢者雇用状況等報告」集計結果」によれば、65歳までの高年齢者雇用確保措置を実施済みの企業は23万1402社(99.7%)あり、このうちの約16万6415社(71.9%)が「継続雇用制度の導入」を実施しています。
また、66歳以上も働ける制度の企業は8万8933社(38.3%)、70歳以上でも働ける制度の企業は8万4982社(36.6%)となっています。
たとえ60歳代時点での貯蓄が少なくても、まだまだ働く場所があり、収入が確保できるのであれば、これから70歳代、80歳代に向けたお金の計画を立てましょう。日々の出費を減らしたり、毎月の貯蓄を始めたりなど、できることから始めていけば、将来は変わるはずです。