Q. 予防接種を受けていたのに、インフルエンザにかかりました。なぜですか?
「ちゃんと予防接種を受けていたのに、なんで?」 接種後に感染してしまうことがある理由は?
インフルエンザの予防接種をしていたのに、結局インフルエンザにかかってしまうことは、残念ながら珍しくありません。「予防接種を受けたけど意味がなかった」とワクチンの効果を疑ってしまう方もいるようです。誤解されているワクチンの目的と、予防接種の意味・効果について、わかりやすく解説します。
Q. 「予防接種を受けていたのに、突然の高熱。病院に行ったらインフルエンザ陽性でした。数年前も同じように、予防接種後に感染したことがあります。結局、予防接種を受けたところで意味がない気がしてきました。本当に効果があるのでしょうか?」
A. ワクチンの効果と目的は実は感染予防ではなく、発症と重症化予防だからです
「ワクチンを打ったのにインフルエンザにかかった」という話は、意外によく聞くものかもしれません。時間を作って予防接種に行って、注射で痛い思いをしたのに、結局インフルエンザの症状でもつらい思いをしてしまったら、ワクチンの効果に疑問を持ってしまう人がいるのも、無理がないことかもしれません。しかし実はインフルエンザワクチンの目的は、感染自体を防ぐものではありません。「症状の発症を防いだり、軽くしたりする」ことが、インフルエンザワクチンの目的であり、効果です。ウイルスが体内に侵入しても、ワクチンによって獲得した免疫によって増殖を抑えることができます。この「体内でのウイルスの増殖を抑えられる」という点が、大きなポイントです。
インフルエンザを発症すると、その症状自体もつらいものですが、健康な人であれば、1週間ほどで自然に回復することがほとんどです。しかし重症化すると、肺炎やインフルエンザ脳症などの非常に重い合併症を引き起こすことがあります。合併症を起こした場合は入院治療が必要になりますし、最悪の場合は命を落としてしまうこともあります。ワクチン接種をしておくことで、こうした重症化を予防することができるのです。
特に65歳以上の高齢者や乳幼児の重症化を予防する上で、インフルエンザワクチンの効果は非常に大きなものです。65歳以上の健常な高齢者の場合、ワクチンによって「約45%の発病を防ぎ、さらに約80%の死亡を阻止する効果があった」という研究報告もあります。「自分もワクチンを受けたのにインフルエンザになったことがあるから、高齢の両親や自分の子も、ワクチンを受けさせなくていいだろう」と考えるのは注意が必要です。
効果と目的を正しく理解して、適切にワクチンを役立てていくのがいいのではないでしょうか。
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