その際、勤務年数はどのくらいの退職金が支払われるのかの目安になります。今回は、大企業、中小企業それぞれの参考資料をもとに、退職金の相場を紹介します。
勤務年数ごとの退職金の相場はどれくらい?
勤務年数ごとの退職金について、大企業と中小企業のモデル退職金でご紹介します。企業ごとに退職金制度があり、退職金の計算方法はそれぞれ異なります。●大企業の勤続年数ごとのモデル退職金(会社都合)
大企業の退職金の元になる資料は、厚生労働省(中央労働委員会)の「2021(令和3)年賃金事情等総合調査」です。 大企業の勤続年数ごとのモデル退職金は、高校卒よりも大学卒のほうが1.3~1.4倍に増えます。高校卒も大学卒も、勤続20年以上になると、勤続3年目に比べ、高校卒で約13倍、大学卒では約14倍になり、大幅な増額が見られます。
●中小企業の勤続年数ごとのモデル退職金(会社都合)
中小企業の退職金の元になる資料は、東京都産業労働局の「2022(令和4)年版中小企業の賃金・退職金事情」です。 中小企業の場合においても、勤続年数ごとのモデル退職金は、高校卒よりも大学卒のほうが多いといえますが、大企業の場合よりもその差は少なく1.2倍程度になっています。
また、高校卒も大学卒も、勤続20年以上になると、大きく支給額が増えます。総額幅は、勤続3年目に比べ、高校卒・大学卒ともに約12倍となり、大企業とよく似た結果といえます。
転職を考えているときは、今働いている退職金制度の「退職理由」「勤続年数」をしっかり確認!
退職金制度のある企業で勤務すれば、退職する際に退職金がもらえます。いくら退職金がもらえるかについては、必ず各企業の就業規則や退職金規定などで確認しましょう。就業規則や退職金規定には、退職金について以下のようなルールが明記されているはずです。
・退職金が給付される適用範囲(正社員だけでなくパート・アルバイトも該当する場合があります)
・退職理由の取り扱い(自己都合もしくは会社都合)
・計算方法(勤務年数を元にするなどの基準)
・支払いの方法(一時金または、年金などに分けて支給されるかなど)
・支払い時期(退職後○カ月以内など)
もし、転職を考えているなどの場合、自分がもらえる退職金はどれだけか知りたい場合は、「退職理由」「勤続年数」を注意して確認するようにしましょう。
一般的に、退職金の退職理由が会社都合と自己都合とでは、支払われる退職金が異なります。会社都合退職とは、経営破綻や倒産、業績悪化などの理由で退職することをいいます。一方、転職などをするために自分から退職を申し出る場合は自己都合になり、会社都合で支払われる退職金よりも少なくなる傾向があります。
また、勤務年数については、一般的に長ければ長いほど退職金の支給額は高くなり一定の年数(先述の場合でいえば勤続20年)を超えると、大幅に増額される場合があります。支給される退職金が大きく変わってしまうのはもったいないことなので、辞める前には必ず就業規則や退職金規定について確認しておきましょう。