個人事業主やフリーランスが退職後に受け取れる「お金」の準備の方法
個人事業主やフリーランスの方々が、退職後に受け取れるお金を準備する場合、その選択肢は多いです。実際、どのようなものがあるか挙げると、以下のとおりです。【個人事業主・フリーランスが準備できるお金】
・国民年金の付加年金に加入
・国民年金基金
・iDeCo(個人型確定拠出年金)
・つみたてNISAまたはNISA
・小規模企業共済
・中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)
・個人年金保険
・所得補償保険や就業不能保障保険
老後のために、どれだけの金額を目標に準備するのか、どのような備えを優先したいのかを考えてみましょう。その上で年齢・所得・預金等を考えご自身に合ったものを選ぶことになります。
今回は、上記の中でおすすめなものを2つ紹介します。
老齢基礎年金の上乗せとして押さえておきたい「付加年金加入」
個人事業主やフリーランスの方は、国民年金第1号被保険者に該当します。国民年金保険料に月額400円の付加保険料を上乗せして納付すれば、65歳以上になったらもらう老齢基礎年金額を増やすことができます。付加保険料に上乗せされる金額は「200円×付加年金に加入した月数=年額」で計算できます。
仮に10~40年間、付加保険料を支払った場合の老齢基礎年金に上乗せされる付加年金額は以下のとおりです。
【老齢基礎年金に上乗せされる付加年金額(年額)】
・付加保険料を10年納めた場合:200円×120カ月=2万4000円
・付加保険料を20年納めた場合:200円×240カ月=4万8000円
・付加保険料を30年納めた場合:200円×360カ月=7万2000円
・付加保険料を40年納めた場合:200円×480カ月=9万6000円
さらに、もし、65歳からもらえる老齢基礎年金を遅らせる繰り下げ受給すれば、上乗せとなる付加年金も同じく1カ月あたり0.7%増額されます。
年額にして、2万4000円~9万6000円は「大した金額ではない」と感じるかもしれませんが、老齢年金は死ぬまで安定的にもらえるお金です。その年金が少しでも増える方法であれば、確実に押さえておくとよいでしょう。
出典:日本年金機構「付加保険料の納付」
税制メリットの他に緊急時の資金サポートがある「小規模企業共済」
小規模企業共済は、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営している退職金などの準備をする制度で、フリーランスや個人事業主、小規模企業の経営者などが加入対象になります。掛金は、月額1000円から7万円までの範囲内(500円単位)で自由に金額設定でき、掛金の全額が「小規模企業共済等掛金控除」という所得控除に該当するため、所得税や住民税を減らせます。また、掛けていた共済金は、退職・廃業するときに受け取ります。いつまで掛けると満期を迎えるや○○万円になると上限になるなどの満額はないので、フリーランスなどの方が働けなくなるまで掛け続けることができます。
共済金の受け取り方は「一括」「分割」「一括と分割の併用」の中で選択できます。(要件あり)もし、一括受取りをする場合は退職所得扱いになり、分割受取りの場合は公的年金等の雑所得扱いとなり、どちらを選んでもかかる所得税などが安くなります。
注意点としては、掛金納付月数が240カ月(20年)未満などで任意解約すると、掛金合計額を下回る金額しか戻ってきません。
●小規模企業共済には掛金の範囲内での貸付制度あり
さらに、小規模企業共済は、単なる退職金準備に留まらず、個人事業主やフリーランスの方が病気・ケガのときなど、緊急で資金が必要になったときなどは、掛金の納付期間に応じた貸付限度額の範囲内で、低金利で事業資金等の借り入れができます。
個人事業主やフリーランスの方は、事業資金を優先させる必要があり、自分の老後のことは後回しとなるケースがあります。しかし小規模企業共済に加入していれば、自分の老後と事業のもしものとき、どちらも場合にも備えられます。
出典:中小機構「小規模企業共済」
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